2010.06.22

第101回 (A) 規定が無い!!連結決算のIFRS対応【経営・会計最前線】

商品開発ユニット 連結会計システム開発グループ長 森 真平

ディーバ社では現在、2012年3月期に開示を予定されているお客様とIFRS対応製品を開発しています。IFRSの導入では最初に影響調査フェーズとして、IASやIFRSといった基準の理解と自社への適用による影響の把握が中心となると思いますが、連結決算処理については、予想以上に明確な記載がなく、各社、原則主義に基づいて見解が異なるのではないかと推定されます。

例えば、未実現損益消去の非支配持分負担についてIFRSには明確な規定がありません。
考え方としては以下の3つがあるようです。
1.売却会社持分比率負担方式
2.購入会社持分比率負担方式
3.全額親会社負担方式

現行、日本基準においては「1.売却会社持分比率負担方式」を採用しています。IFRSで先行している欧州でも大手会計ファームの見解はこちらを採用しているとの話があります。他方、税効果まで考えると、日本基準では、税効果は資産負債法を採用していますが、未実現損益の消去の税効果については明確に繰延法を採用しており、売却時の税率を利用して売却会社が税効果を認識します。しかし、IFRSでは、原則、資産負債法である点は同じですが例外規定としての繰延法の記載がありません。そのため、未実現損益消去の税効果についても資産負債法を適用するため購入会社側の将来税率で税効果を認識するとされています。仮に購入側に非支配持分が存在すれば当該、税効果は購入側が負担することになると考えられます。税効果は、その元となった会計上の資産・負債と税務上の資産・負債の差異である発生原因に基づいて計上されますので、税効果を購入側で認識するのであれば未実現損益も購入側で認識する「2.購入会社持分比率負担方式」も考えられます。

ところがIAS27には未実現損益消去に伴う非支配持分負担について記載がありません。非支配持分に按分する対象は、子会社の公正価値であり分配可能な残余財産と考えている解釈も成り立ちます。また、日本でも古くから議論の対象となる、持分率が増減した場合の未実現損益の少数株主持分の負担に関する処理についても、日本基準とIFRSではのれんに関する考え方が異なり、未実現損益をのれんの算定に含めるべきでないと考えられます。そう考えると、「3.全額親会社負担方式」も論理的な気もします。

上記のようにどの考え方も成り立つため、DivaSystemではお客様の設定によって3つのパターンに対応できるように開発していく予定です。また、未実現損益消去の非支配持分以外についても連結決算に関する多くの論点がありますので順次お知らせし、お客様からのフィードバックを得ながら開発していきたいと考えています。

影響調査フェーズでは、IFRSへの基準の理解と自社への適用が中心となると思いますが、決算作業プロセスの影響も検討されることをお勧めします。ご存知のようにIFRS開示初年度については、日本基準による開示とIFRSによる開示の並行開示が求められています。

IFRSの開示については、東証からも適時開示よりも質を重視するとの話もあるようですが、既に月内開示をされているお客様については並行開示においても月内での開示が社内外から要求されることが多いと思われます。

これまで2会計基準により開示されているお客様の運用を伺っていると、2会計基準を並行して作成し別々に監査する方法もありますが、日本基準の連結財務諸表を作成し監査を受け、その後、米国基準やIFRSといった第2会計基準についてはGAAP調整として作業しGAAP調整過程並びに第2会計基準による連結財務諸表を監査するケースが多いと思われます。連結財務諸表を上記のように日本基準を作成し、GAAPを調整してIFRSの連結財務諸表を作成する場合、純粋にGAAP調整の作業並びに当該監査の期間だけ決算スケジュールが伸びてしまい、これまで以上に決算早期化・効率化が求められることが予想されます。

弊社では、お客様のアンケート結果を受けて、多くのお客様の決算早期化の阻害要因のひとつとなっている内部取引照合業務を、取引情報を有している各グループ会社同士が前倒し実施する「内部取引事前照合」をご提案しています。事前照合の導入後は内部取引照合業務がいわゆる連結パッケージ提出日の前段階で終了していることになりますので決算スケジュールの大幅な短縮、親会社での作業負荷の軽減にお役にたてると考えています。

ご精読ありがとうございました。

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