2010.10.05

第108回 (A) ヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則)から学ぶこと【経営・会計最前線】

ビジネスソリューション本部 第一事業部長 山崎 恒

製造現場や医療現場などでよく用いられる言葉・考え方のひとつに「ヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則)」というものがあります。米国の損害保険会社に勤務していた安全技師のハーバード・ウイリアム・ハインリッヒ氏は、同一人物が起こした同一種類の労働災害を5000件以上調べ上げた上で、1930年代に発表した論文の中で、重傷以上の災害が1件起きる背景には、軽傷を伴う災害が29件起きており、さらには危うく惨事になるような「ヒヤリ」「ハッと」するような出来事が300件あるという「1:29:300の法則」を見いだしました。
このハインリッヒの法則は、産業界はもとより行政や医療の世界にも広く通じる考え方として広まっているようですし、教習所などで耳にされた方も多いのではないかと思います。また、何か業務上の重大な問題が生じた際に、その予兆とも言うべき事象が以前に発生していたことに気付かされるケースや、逆に予兆の段階で重大事故を防ぐための対策を講じたことにより、その後の重大な問題の発生を防止できたケースなど、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

この法則から学ぶべきなのは、重大な事故が発生する前に、既にそれを予感させる「ヒヤリ」「ハッと」する体験が多発しているはずであり、それらのシグナルを見逃さず、事故や業務改善につながる事象を認識することが重要であるということだと理解しています。

一方、こうしたシグナルを見逃さずに事故や業務改善につながる事象を認識した上で、重大事故を未然に防ぐための対策を打つといったリスク・マネジメントについては、多くの企業でも様々な取り組みがなされているかと思いますが、その実践は容易ではなく、多くの困難を伴うものかと思います。
当社においても、お客様からの問い合わせ情報、クレーム・トラブル情報の共有などの各種取り組みを実施していますが、そこからさらなる将来のトラブルに関する予兆を敏感に予測・読み取り、適切な対応を行うといった活動はまだまだ不十分であると感じています。すべての事象、報告事項に対して過敏に反応することも非効率であることからも、各種仕組み作りに加え、適切な報告・判断を行う、といった社員の意識付けや教育、さらにはマイナス情報を歓迎する雰囲気を社内につくった上で、リスクの芽に気付き、重要なものについては見逃さずにリスクを摘んでいく風土を築く、といった基本的な取り組みが重要ではないかと改めて考えた次第です。

さらに、こうした考えを進めていく中で、この考え方はリスクの軽減といったマイナス面のみではなく、各種情報から将来のビジネスチャンスを感じ取るといった前向きなアクションにおいても同様のものではないかと感じました。お客様からの情報に耳を傾け、小さなシグナルや事象を見逃さずに、新たな製品開発や新しいサービスの立ち上げといったチャンスを発見し、アクションにつなげ、よりお客様に貢献できる価値を生み出す行動にも活用できるものと思います。(法則に当てはめると、ビジネスとして成立するためには、300のアイディアや気付きが必要となるため、諦めずに地道な努力を続けることが重要かも知れません。)

今後も日々の営業活動・プロジェクトの実践から生じるお客様の声を真摯に受け止め、リスク・チャンスの両面から、より価値の高いソリューションをご提供できるよう精進していきたいと思います。

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