2011.04.01

第119回 (A) ITビジネスの明日に向けて【経営・会計最前線】

株式会社ディーバ 代表取締役社長 森川 徹治

東日本大震災で被災された皆さまとご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本の企業向けITビジネスに元気がありません。市場動向についてIT関連企業同士で情報交換を行うと、長いこと「お客様のIT投資は依然慎重な姿勢が続いています」が枕詞になっています。

市場調査会社の予測によると、日本の企業向けソフトウェア市場は2010年の260億ドルに対して4年後の2014年は280億ドル、北米はそれぞれ1110億ドルと1440億ドルだそうです。GDPでは約3倍の開きに対して、企業向けのソフトウェア投資という視点では約4倍の開きがあります。

一方、日本を除くアジア太平洋地域ではそれぞれ220億ドル、340億ドルでこの数年年内には日本よりも多くのIT投資が行われると予測されています。市場の成長はGDPの伸びと不可分ではありますが、日本企業のIT投資も国内から海外へ大きくシフトしている状況を見ても差は広がる一方だと考えて間違いないでしょう。

では、日本のITビジネスに未来はないのでしょうか。もちろん答えは”NO”です。ITが生み出す社会の変化は、ビジネスのみならず、最近の中東情勢をはじめ様々な社会のあり方にまで変革をもたらすだけの力を持っています。先に触れたIT投資の件も、世界的に見て多くの成長企業がビジネスの手段としてITを積極活用していることを裏付けています。

では、なぜ日本企業はIT投資に消極的なのでしょうか。投資余力がないというご意見もごもっともですが、それ以上にIT投資に対するトラウマが大きく影響しているのではないかと考えています。

過去10年程度のスパンでIT業界は二度大きく活性化しました。2000年のY2K問題、そしてJ-SOXです。Y2Kの時代にはネットバブルとも相まってIT業界は異様な熱気に包まれていました。新たな技術とそれから生まれるビジネスへの期待が高まった時代です。

しかし、現実にはほとんどのIT投資は旧システムからのリプレースであり、リプレースに際してソフトウェアパッケージの導入が進んだというもので、多くの企業にとって業務そのものを変革するものではありませんでした。

J-SOXに至っては単なるコスト増以外のなにものでもありません。しかし、コンプライアンスを問われる企業は上場コストとして負担することになります。この10年で企業の上場負担は倍増したとも言われています。

これら二度の波でIT業界は活性化しました。しかし、お客様である企業がその投資によって競争力を大きく高めることができたかと言えばそうではありません。結果、IT投資は単なる金食い虫。そんなトラウマを創り出すことになりました。

もし私たちITビジネスを生業とする人間が、もっとお客様の本業に資する提案ができていたら結果は変わっていたかもしれません。しかし、私たち自身がお客様の本業に貢献するための創意工夫ある提案以前に、コンプライアンス等の義務的対応で精一杯だったということも事実です。

経営の基本は売上最大、費用最小です。IT投資のトラウマを打ち消すには、費用の最小化にのみ役立つのではなく、売上最大に貢献しなければだめでしょう。しかし、お客様の事業の発展に貢献できるソリューションを提供することができれば、お客様とともに発展するIT産業に生まれ変わることができます。

この反省にたち、あらためてお客様のビジネスにITを活用して貢献するためになにをすればよいのか、原点に立ち戻り思考し行動することを肝に銘じています。

今私たちは未曾有の国難に際していると言われています。この難局を乗り越えるためにも、私たちは一人ひとり、企業も各社が自分、自社以外の誰かのために本当の役に立つことはなにかを問い直し、再起と発展に資する活動に集中することがとても大切なことであると感じています。当たり前のことと言えば当たり前なのですが、それを意識して真剣かつ真摯に取り組む。その結果として、日本もIT業界も本当の再起と発展が実現されるもと信じています。

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ