2011.07.27

第127回 (A) ハレー彗星は不吉な出来事の予兆?【経営・会計最前線】

執行役員 カスタマーサービス本部長 竹村 弘樹

ハレー彗星は周期約76年の楕円軌道を持ち、その軌道は海王星の外側にまで達する大きく明るい彗星で、多くの彗星の中で最初に知られた彗星です。76年という長い回転周期を持つ彗星は他になく、昔ハレー彗星は神秘的なものであり不吉な出来事の予兆と信じられていました。ではなぜ不吉の予兆と言われたのでしょうか?

ハレー彗星の軌道を解明したのはイギリスの天文学者エドモンド・ハレー(1656~1743)です。彼は、1682年に出現した彗星が、1531年にドイツのペトルス・アピアヌスが観測した彗星と1607年にプラハのヨハネス・ケプラーが観測した彗星と同じなのではと考えました。そして、ハレーは過去の彗星の記録を多数取り寄せ、その事実をもとにニュートン、ライプニッツらがつくりだした物理法則や微分法を用いてハレー彗星の軌道が「楕円」であることを発見し、これら3つの彗星は実際には同一の天体が76年ごとに回帰したのだと結論づけました。そのうえハレーはこの彗星が次は1757年に再び出現すると予言し、そして1758年のクリスマス、ほぼハレーの予言通り彗星はふたたび夜空に姿をあらわしました。これによりハレー彗星が「不吉の予兆」という迷信や神秘主義を打ち破ったのでした。

ハレー彗星が「不吉なできごとの予兆」といわれた理由は、76年という周期は人間の寿命とほぼ同程度であるため研究が進めにくい状況にあったことや、その周期が人の想像をはるかに超えていたため不定期で別々の天体が出現するものと考えられており、かつその神秘的な姿から恐怖とも期待ともつかない何か漠然として気味の悪いという心的状態から、迷信や神秘主義が生まれたのではと思います。しかし、ハレーは、多数の事実と数学的手法により76年という周期の解明と再来を予測し実証することで、人々の不安感を解消し迷信を打ち破りました。

ここで利用された数学的手法である微分法は、ハレーの彗星軌道の予測になくてはならないものでした。微分法は、物事がどのように「変化」するかを計算する手法です。たとえば、投げたボールの速度からボールが数秒後にどこをどんな速度で飛んでいるかを計算することができます。つまり、微分法を使えば「未来」が予測できるのです。

しかし、微分や積分と聞くと学生時代から良いイメージを持たれている方はほとんどないと思います。しかし、我々の日々の事業活動の中で意識することなく利用しているような簡単な概念で、各種経営指標にも採用されているのです。
例えば、回転率(回)=売上高/((当該科目の前期末残高+当期末残高)/2)や株主資本利益率(ROE)=当期純利益/((前期末株主資本+当期末株主資本)/2)等は、微分係数であるdx/dtに相当します。
(※これらの各指標は、ストックの数値として期首と期末の平均を採用しており、期間の中央時点でストックを捉えて、期間中のフローと扱っています)

さらに微分には”極限”という時間の変化量dtをゼロに近づけることで計算精度を高めていくという概念があります。上記の経営指標は変化量dtを決算期間(例えば1年)とし計算されることが多いのですが、変化量dtである1年を半年→四半期→月次→日次→1時間→10分→1分→と、どんどんゼロに近づけていくことで計算精度を高めることができます。経営管理サイクルを短縮し精度を高める取り組みをされている活動は微分でいう”極限”の概念と考えることができるのではないでしょうか。

以上でお分かりのように企業経営における永遠のテーマである「予測」という行為は、微分的思考をなくしては語れず、それを数学にしたものが微分という手法です。

また、分析・予測するという活動は様々な企業で実施されていますが、それらの活動には下記の5つのステージがあるという考え方があります。御社はどのあたりでしょうか。

(※分析力を武器とする企業(トーマス・H・ダベンポート)より)
ディーバでは、ハリーと同様、多数の事実情報を蓄積し、科学的数学的に経営分析・予測を支援するための製品及びコンサルティングサービスを提供しています。連結経営分析力のステージ向上に興味がありましたらぜひ弊社までご一報ください。

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