2011.08.17

第128回 (A) 進化論から考える企業の成長とこのたびの新子会社の設立【経営・会計最前線】

取締役 川本 一郎

企業の成長を進化論に結びつけて論じている経営学の学者が多いのをご存知でしょうか?

進化論は19世紀前半にラマルクやダーウィンの唱えた説に端を発し、遺伝子やDNAの発見を経て様々な学説を取り込んで発展しました。神が進化に介入する有神論的進化論や突然変異を前提とする跳躍説などが出ては消え、今では進化とは遺伝子のランダムな変化である「ゆらぎ」から生まれ、その「ゆらぎ」を選択的に組織集団が取り入れて意味のある進歩につなげるかどうかで決まるという説が有力です。

企業の成長に例えると、現場も含む個々の社員の判断が企業の戦略や業務に及ぼす影響を「ゆらぎ」と捉え、その「ゆらぎ」を企業自身のオペレーションに取り入れて成長していくさまをなぞらえて論じています。

多くの学者は、その際企業が継続的に自己を変革し創造的な環境との相互作用を行うためには、ビジョン(目標)などに基づく志向性を持つことが重要という点で共通しています。その中で藤本隆宏教授(東京大学)は志向性の重要さは認めつつも、長年トヨタで大勢の社員に聞きとり調査をした結果、社史など表に出てこない「けがの功名」「瓢箪から駒」「役所に言われて渋々始めたらうまくいった」ことが成長に寄与したことに気付き、現場で起きた変化を後付けで組織に取り入れる能力がトヨタの成功の要因としました。

いわば現場のカイゼン提案で効果が出たものを機動的に全社に横展開し、その後の効果検証とフォローを徹底。そして、このプロセスを全社員が認識して共有。これがトヨタの強みとなっていると説明したのです。

企業の成長には(1)商材・サービスを市場に適応させながら効率性を追求する「改善」、(2)商品ラインナップの拡充や海外などへ市場展開する「拡張」、(3)市場や商材を大きく変える「革新」という3つのパターンに分類されるという主張があります。

前述したトヨタの成長の要因が「改善」にあることは明白ですが、一方で松下電工の会長を務めた三好俊夫氏はこんな言葉を残しています。
「自分達が活動するドメインの中で、改良商品を作っていく。それを松下電工では『強み伝い』と言っています・・(中略)・・『強み伝い』をやっていくうちに、大体、斜陽産業になってしまうのです・・(中略)・・社会の動きに合わせたつもりなのだが、社会の動きの方が企業の動きよりももともと早いということだと思います。だからやはり跳ばないといけないのです。」

フォードが工業生産を開始し社会インフラと化した「自動車」の寿命はもはや一世紀を超えており、(電気自動車や燃料電池自動車の普及で業界の絵図は大きく変わるでしょうが)トヨタは「改善」で世界トップに立つことができました。ところが世の中の多くの商品・サービスはせいぜい十年から数十年の寿命であり、「改善」「拡張」だけではお客様や市場の変化についていけず「斜陽産業」となって沈むのです。

よって多くの業界では、三好氏のいう「跳ぶ」ことが必要になります。お客様や市場を能動的に変えるか、商材やサービスを変えずにお客様にとっての価値をガラリと変える(これをビジネスモデルの変更という人もいます)のです。このような「革新」が企業の持続的な成長には欠かせません。いわば「改善」や「拡張」と異なる非線形の成長です。

そして、ドッグイヤーと言う言葉を生むくらい各商材やサービスが十年でガラリと入れ替わるIT業界もまさしくこのような非線形の成長が求められます。

そこでディーバは、このたび100%出資の新会社設立を8月16日に発表いたしました。「高度化・複雑化する最近のお客様の需要やIT技術の日進月歩の進化に対応するため、自社製品にとどまらず他社の商材も積極的に活用しつつ、個別会計システムやその他基幹業務のSI事業、またCPM(企業業績管理)といったグローバル市場でも成長が期待される領域での事業展開を目指し」ます。

果たして新会社が非線形の成長を起こせるかどうかはまだ分かりません。しかし、その名称は革新(イノベーション)を起こしたいという思いを込め「ディーバ・ビジネス・イノベーション株式会社(通称DBI)」とし、「革新」を通じグループ全体の成長に寄与したいと考えております。それがひいては新会社含めディーバグループ全体でお客様企業の発展を支え、「経営情報の大衆化」というグループ全体のミッションが実現できれば幸甚です。

今後ともディーバグループ、そして新会社「ディーバ・ビジネス・イノベーション」へのご指導・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

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