2011.08.31

第129回 (A) 「プロボノ」による新たな社会変革の波【ディーバ哲学】【プロジェクトマネジメント】

第一事業本部 営業部長 寺島 鉄兵

「プロボノ」という言葉をご存知でしょうか?ラテン語で「公共善のために」を意味する「pro bono publico」の略で、現在では「自分のスキルを活かしたボランティア活動」と定義されているようです。
このプロボノの日本におけるパイオニアがNPO法人サービスグラントです。サービスグラントの基本コンセプトは、NPOのためのNPOです。具体的には、社会的意義の高い活動をしているが、経営において課題を抱えており、そのパフォーマンスを活かしきれていないNPOに対し、マーケティングなどの支援活動を提供します。その結果として、NPOの目指す社会問題の解決を「後方支援する」という狙いの活動になります。サービスモデルとしては、ビジネス等の第一線で活躍をする人材が、自発的に得意スキルを元に人材登録をします。次に、経営に課題を抱えているNPOからの支援要請を元に、人材プールから選出したメンバーで適切なプロジェクトを組成し、成果を提供するというものです。現在のスキル登録者は約760名で、これまで実施したプロジェクト数は累計で67プロジェクトにもなるそうです。(*)

今回、縁あって、私もプロボノ・プロジェクトに参画することになりました。私の参加するプロジェクトは、「ふるさとプロボノ」という新しい試みであり、従来NPO向けに提供していたサービスを、地域行政に適用し、日本の地方都市の活性化につなげようという意欲的な取り組みです。
具体的なテーマは兵庫県豊岡市のウェブサイトの一部リニューアルによるマーケティング支援です。豊岡市は、コウノトリの野生復帰という貴重な取り組みを推進している市であり、豊岡市のウェブサイトでも「コウノトリと環境」というページを設け、その取り組みを発信しています。野鳥の野生復帰としては、新潟県佐渡市のトキが有名ですが、コウノトリの取り組みも、これに劣らず歴史的なストーリーを有しています。このプロジェクトでは、「コウノトリと環境」ページのリニューアルを通して、豊岡市の認知度向上とビジョンの実現を後押しすることを狙いとしています。

プロジェクトメンバーは、大手シンクタンクの地域経営の研究員、メディア会社の広報担当、マーケティング支援会社の編集者、Webサイト制作会社のデザイナーといった、その道のプロフェッショナルが揃っており、私は、プロジェクトマネージャーの役割を担っています。
プロジェクトでは、市長のインタビューに始まり、メンバー全員で数日間かけて豊岡市に訪問し、市職員は元より、地域の経済に深く関与する方々(農家、起業家)など数十名にも渡るヒアリングを実施しました。その内容を元に、市場分析、競合分析、資源分析といった、いわゆる3C分析や、各種のリサーチを通して、豊岡市の取るべきマーケティング戦略の方向性と、そこから導き出されるリニューアル・サイトのコンセプトを作成しました。既にプロジェクトは折り返し地点を過ぎ、2011年内のタイミングでリニューアル・サイトを公開する予定です。

プロジェクトはまだ終了していませんが、これまでの活動を通し様々な気づきがありました。

(1)ビジネスのスキルセットは、様々な社会問題の解決に対して、有効なソリューションとなりえる
(2)ビジネスセクターだけではなく公的セクターにおいてもIT基盤は必要不可欠なものとなっている
(3)プロボノは質の高い人脈、経験値を築くことができる

(1) 最近では、ソーシャル・ビジネスに代表される、社会問題に対してより直接的な働きかけを行う組織が活躍しています。例えば、病児保育の問題に取り組むNPOである「フローレンス」などです。(余談ですがフローレンスのWebサイトもプロボノの支援により構築したそうです)
このような、ソーシャル・ビジネスでもビジネスのスキルを有効に活用して経営的成果を創出していると言われています。今回のプロジェクトにおいても、インタビュー、分析、マーケティング戦略のためのフレームワーク、提案書作成など、その活動は通常のビジネスで利用しているものとなんら変わらない内容となっており、適用の有効性を体感しています。(提案書作成前夜の追い込み作業の大変さなども同じです。。。)

(2) プロボノ・プロジェクトは、原則プライベート・ベースでの取り組みになるため、通常の仕事とは異なりメンバー間のフェイス・ツー・フェイスのコミュニケーション機会はあまり確保できません。それを補うために、電話やメールだけではなく、プロジェクト管理ツールやデザインイメージ共有ツールなどは、様々なクラウドサービスを活用してプロジェクトを遂行しています。正直、クラウドサービスもここまで進化しているのか、と思えるほど、多様なサービスが存在しており、プロボノのような公的セクターの活動にも大きな武器となっています。

(3) プロボノに参加するメンバーは、元々がプロフェッショナル意識の高いメンバーです。そのメンバーが「仕事」を通して、具体的な成果を出していきますので、必然的にお互いのことをよく知ることとなり、異業種交流会などとは次元の異なる関係性を築くことができます。プロジェクト経験者の声(*)を見ても「普段は出会わない方たちからの刺激を受けることにより、視野が広がり、人間的に成長した」という意見が多いようです。また、地域行政の課題解決支援といった、多くのメンバーにとっては未経験領域へのチャレンジとなる機会を得ることにより、幅と深みのある経験をすることができることは言うまでもありません。

通常の「仕事」とは一味違った経験。皆さんもぜひ一度試されてみてはいかがでしょうか?

*出所:サービスグラント(2011)

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