2011.09.28

第131回 (B) エントロピーは増大する【経営・会計最前線】

第三事業本部中・西日本事業部 シニアマネージャ 木村 浩之

「エントロピー経済学」と題する本も出版されていたりして、エントロピーという言葉について、お聞きになったことのある方、あるいはその内容をご存知の方も多いことと思います。
我々の普段の生活や経済活動などを含め、全てのものは、根源的に『エントロピー増大の法則』に支配されています。
我々が自分たちの生命や生活を維持しようとする活動は、全てエントロピーの増大を防ごうとする活動そのものです。

本来、エントロピーとは熱力学で導入された概念ですので、正確に理解するためには、熱力学の理解が必要になってきます。そのため、細かいことを言い出すととんでもなくめんどくさい数式での表現になってしまいます。
以下の内容はあくまでも私が概念として理解している中での説明であり、正確ではない部分もあるということをお含み置きいただきながら、読んでいただければ幸いです。

まず、エントロピーとは何か?
エントロピーという言葉そのものは、「無秩序な状態の度合い」を表しています。
無秩序な状態ほどエントロピーは高く(数値が大きく)、整然として秩序の保たれている状態ほどエントロピーは低い(数値が小さい)のです。

では、それが増大するとは?
整理整頓された部屋も、片づけをしないとそのうち物が散らかって足の踏み場もないほどになるでしょう。
煙が閉じ込められた箱のふたを開けると、煙は空気中に拡散していって、煙か空気か分からなくなります。
水にインクを垂らすと、インクは水の中に拡がって、薄っすらインクの色に染まります。
すべての事物は、「それを自然のままにほっておくと、そのエントロピーは常に増大し続け、外から故意に仕事を加えてやらない限り、そのエントロピーを減らすことはできない」という法則があるのです。
これが『エントロピー増大の法則』です。

さて、情報科学の世界では、エントロピーとはどのように考えられるでしょうか。
情報科学の分野では、このエントロピーを「あいまいさ」とか「不規則さ」「事象の不確かさ」として考えます。
インターネットが当たり前のものとなり、データの発信コストが劇的に下がり、飛躍的に増加した無数のデータが飛び交う現在の状況の中では、「あいまいさ」「事象の不確かさ」が高くなっており、まさに情報のエントロピーが増大している状況であるといえるでしょう。
※ここでは 情報:人間が理解できるデータの並び、 データ:情報を構成する記号 として表現しています。

データが単なる不規則なデータとして存在している間は、情報としては秩序がなくエントロピーが高い状態です。
例えば、インターネットの世界であれば、無数に不規則に存在するデータの海はエントロピーが高い状態です。
そのままではうまくデータを利用することができません。そこで我々はGoogleなどの検索エンジンを使い、データを選別し、エントロピーを下げてデータを情報として利用しています。

企業における情報システムも同様のことが考えられます。
日々の企業活動から生まれてくるデータは増える一方であり、エントロピーは増大を続けています。
何もしないでおくとデータとしての「あいまいさ」や「不規則さ」が増え、情報としては無秩序な状態となり、人間が意味を読み取れず利用できない状態となってしまいます。
そのため、我々は情報システムを利用してデータを情報処理し、意味のある情報として活用しているのです。

私たちディーバの役割としては、特に連結会計/連結経営の分野でのこの増大するエントロピーを抑え、企業活動に利用できる状態にすることであると考えています。

製造や販売といった各現場から出てくるデータについては、比較的モノとデータの紐づけがしやすく、エントロピーの増大を抑えやすいのですが、連結会計/連結経営といった分野で利用するデータは、各現場から出てきたデータの集合体であり、すでにモノとの紐づけが薄いバーチャルな情報ですので、エントロピーでいえばすでに高い状態であると言っていいでしょう。それをさらに企業単位で企業グループとして集合させた上で情報処理しますので、エントロピーの状態は言わずもがなです。
少し前までは、連結といえば制度連結主体であり、制度という秩序によりある程度エントロピーが抑えられていましたが、今ではそのトレンドは制度という秩序から解放された管理連結に指向されており、ますますエントロピーが増大する傾向に拍車がかかっていると言っても過言でありません。

私たちディーバには、幸いなことに連結会計/連結経営の分野において専業でやってきたことによる知識と経験があります。秩序から解放された管理連結に対しても、知識と経験という秩序をもって、エントロピーの増大を抑えることが可能であると考えています。
我々の持つ知識と経験を駆使し、この増大するエントロピーに立ち向かい、お客様に秩序ある情報の提供に邁進していきたいと思います。

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