2011.10.12

第132回 (A) IFRSを信じていますか【経営・会計最前線】

IFRS推進委員長 シニアディレクター 公認会計士 斎藤 和宣

FRSの強制適用時期が当初想定よりも先延ばしになり、導入方針を決めかねる企業も多くなっています。そんな時だからこそ、IFRS適用の効果を過信していないか、あらためて考え直してもよいかもしれません。
前回のメールマガジンで、弊社の守田より「IFRSは不要か?」とのタイトルでIFRSについて書かせていただきましたが、引き続き今回もこのIFRSについて、どのように理解し付き合っていったらよいかを考えてみたいと思います。

世界で広く受け入れられつつあるIFRSですが、グローバル・スタンダードに従うことで一般的に各社の開示情報の比較可能性が高まると言われています。ただ一方で、原則主義といわれるIFRSでは、実際に採用する会計処理方法、開示方法が各社各様となることから比較可能性は逆に低下するのではないかとの指摘もあります。
実は、双方の見解はそれぞれが正しく、私の中ではその関連性を次のように理解しています。
開示される情報自体は、各社の判断による部分がありますので、IFRS導入により形式的には比較可能性は高まることはないと考えています。ただし、IFRSが志向する通り将来のキャッシュフロー獲得能力つまり企業価値を把握することができるような、より有用な情報が提供されることになるならば、その意味で比較可能性は高まっているといえるでしょう。そのように理解しています。
IFRSが志向する通りであるならば、IFRSを導入することはグローバルでの比較可能性を高めるという視点で投資家にとって有用なことであるばかりでなく、企業にとっても資本市場における存在感を形作ることができ、適用する意義があるということになるかもしれません。なお、現在のIFRSが企業価値を把握するために十分有用な情報を提供できているかどうかは多くの疑問があり、そのことは別の問題として考えるべきかもしれません。

次に、IFRSを導入する企業側においては、IFRSはどのように捉える事ができるでしょうか。IFRSをグループ経営の軸に据えてグルーバルでのマネジメント品質の向上につなげようという話はよく聞きます。ただその理由は、IFRSが優れた会計基準であるか否かとは関係なく、グルーバルに広まろうとしている統一的な基準であるからということに過ぎないと考えています。このことはIFRSを活用するにあたって認識しておかなければならないポイントだと思っています。
また、開示情報を作成する現場の視点からは、どうでしょう。IFRSの導入において、財務諸表的にも業務的にもいかに影響を最小限に抑え対応するかが重要ポイントになっていると思います。実際にすでにIFRS対応を進めている企業でも、そのような志向でIFRS対応をしていることが一般的なようです。

日本での強制適用時期が2017年3月期以降になるとの話も聞こえる現在、IFRS対応に対して態度を決めかねる企業も非常に多いです。だからこそ、IFRSの意味をきちんと理解するとともに、IFRS導入によって自社が達成すべき目標を明確にし、決して無駄なことをしないことが重要であり、合わせて確実に実現するために経営者の強い意思表示が必要になってきます。
そうした状況において、良質の製品・サービスによってお客様に応えていくことが我々の使命だと考えており、これからも変わりなく取り組んで参るつもりです。

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