2012.04.04

第144回 (A) 3年毎の人事ローテーションで業務品質が低下【経営・会計最前線】

執行役員 カスタマーサービス本部長 竹村 弘樹

上場企業の連結マネージャが、「3年毎の人事ローテーションにより、業務の品質を維持するのが精一杯。年々品質が低下している感もある」と嘆いておられました。円高、グローバル化の加速、グループ再編、構造改革、制度改正、IFRS対応など環境変化は著しく、経理・財務部門が企業経営上担う役割の重要性が増す中、要求される人材成長のスピードは速く、人事ローテーションは3年が目安とされています。しかし、連結業務だけがその特殊性により平均5年以上というイレギュラーな対応を取っているにも拘わらず、業務品質の維持が精一杯という現状において、連結マネージャは今、何を考えているのでしょうか。
以前に弊社が調査した連結担当ローテーションサイクルでは、2~5年が57%と大半ですが、その半面5年以上及び10年以上で35%を占めるなど人材が固定化されている現状が多く見受けられます。


■連結担当ローテーションサイクル(全体、子会社別)※2009年ディーバ社調べ

一体なぜでしょうか?

それは、次のような理由があると思われます。

  • 理解しておくべき法令が膨大で、かつ毎年のように改正される
    会計基準、開示基準(金商法、会社法、証券取引所の開示基準等)など理解しておくべき法令が膨大で、かつ毎年のように改正され、更にグローバル企業では海外ローカルの基準や税法の理解も求められる。
  • 完璧を求められる開示品質
    有価証券報告書、四半期報告書、会社法計算書類、短信などの開示資料の品質は完璧が求められます。細心の注意を払いながらも昨年の有価証券報告書の訂正社数は、上場企業約3800社中延べ662社もあります。
  • 関係者が多く、コミュニケーションが難しい
    グループ各社含め関係者が多く、かつグローバル企業においては複数言語でのコミュニケーションが求められるため難易度が高い。
  • 業務サイクルが長い
    業務サイクルが開示義務のある3か月単位ということから標準化及び習熟度向上に欠かせない反復回数が他の経理・財務業務と比較して圧倒的に少ない。
  • 教育システムがない
    業務遂行にあたっては法令の理解が大半を占め、かつボリュームが膨大なため自己学習とOJT中心の教育システムになりがちで、しっかりとした育成メニューの整備がしにくい。


上記と同じ特徴を持っている業務があります。
それは税務業務です。複雑な日本の税法、特例が毎年のように施行され、これらを把握しながら税務計算をしなければならないため高度な専門知識や経験を備えるには最低10年はかかるといわれています。しかし、企業として高度な専門知識を備えた人材を抱えることの育成及び評価の難しさ、そして高くなりがちな人件費、また退職リスクも考慮すると納税義務を果たすための税務申告業務について外部サービスを活用せざるを得ないというのが多くの企業の見解です。冒頭の某大手上場企業も外部サービスを活用することで、税務業務担当も3年毎の人事ローテーションと業務品質の維持・向上の双方を実現されています。

外部サービス活用のスタイルですが、一般的に次の4つに分類されます。

外部サービス活用においては当然デメリットもあります。主なものとしては「ノウハウの蓄積が困難」「事業活動との密な連携が困難」「社員のモチベーション低下」などです。これらのデメリットは、ベンダーの高度な専門性だけでなく、社員の教育システムを兼ね備えたベンダーの利用、かつベンダーとの協働体制の構築により大半は解消されますが、「社員のモチベーション低下」については、外部サービス活用の目的を社員に説明し理解を求めることが必要です。


以上、税務業務を見てきましたが、連結業務においても高度な専門知識や経験を備えるには最低10年はかかると言われており、上記グラフ「連結担当ローテーションサイクル」の5年以上及び10年以上が35%という部分がそれを物語っています。全社の人材育成戦略を優先し5年未満で人事ローテーションを実施した場合、業務の習熟度が上がらない中で担当引継を繰り返すことになり、業務品質の低下を招いているというケースがあります。
前述の某大手上場企業ではこれらの特徴について経営層に理解を求めつつ外部サービスを積極活用することで、人材育成と業務品質の課題を同時に解決しています。
弊社は、日本で唯一の連結専門企業として、教育サービスの提供だけなく企業の人材育成及び業務品質向上に向けてトータルアウトソーシングサービスを提供することにより、お客様と連結決算及び開示業務の協働体制を構築し成果を上げております。
高度な専門知識・スキルの獲得、業務の安定性向上、社員の企業活動への集中、業務効率化、組織のスリム化等さまざまな課題の解決に向けて弊社のアウトソーシングサービスをぜひご活用ください。ご一報お待ちしております。

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