2012.07.04

第150回 (A) 欧州危機から日本の雇用回復のあり方を考える 【経営・会計最前線】

執行役員 経営情報本部長 古矢 智彦

ソブリンリスク(国家に対する信用リスク)が叫ばれてから暫く時間が経ちますが、ギリシャの再選挙や南欧諸国の国債利回りの上昇によるユーロ圏離脱の可能性と、それを支え続けるドイツのジレンマから「ドイツを中心とする欧州諸国がその解決手段が見いだせるならば、それが日本における雇用の問題の解決の糸口に繋がるのではないか。」と最近考える事があります。

将来の経済成長を見越した支出過多の清算対応に苦慮している南欧諸国と、すでに失われた10年(20年?)を経験し、支出過多を投資としてリスクテイクしづらくなってしまった日本の環境には密接な関係があるように思います。
(前者は、緊縮財政政策を長期で推し進める等の対応も理論的には可能ですが、後者は、理論では対応し難い「不確実な未来に対する姿勢」の問題と感じるため、より深刻かもしれません。)

ドイツの事例をみると雇用の安定なしに消費の拡大と物価の下落に歯止めをかける事は難しいようですが、どちらのケースでも共通して言えるのは、未来を担う若年層の失業率が高い水準で維持されてしまっていることです。

それでは、どのようにして未来を担う若年層の雇用を生み出し、どのようにすれば安定した雇用環境を維持する事ができるのでしょうか。ひいては消費の拡大と物価の下落に歯止めをかけ、経済の回復につなげる事ができるのでしょうか。

その答えが、冒頭に記したドイツを中心とする欧州諸国の決断なのではないだろうかと考えています。先日のG20サミットでも宣言されたように「あらゆる措置」を施す事が必要な時が来ているのだと思います。

言い尽くされている話ではありますが、個人の利益の総和が全体利益に繋がる時代には個人の利益を追求し続ける事も可能ですが、全体利益が成長しづらい環境では、富の再配分による雇用・経済の回復が必要になります。

欧州危機を支えるドイツでは、国内で短時間労働やフレックスタイムの積極的な導入により雇用の減少を抑え(『雇用の奇跡』と呼ばれています。)全体最適化を図り、ユーロ安を背景とした外需により経済を立て直しています。しかし、一方でユーロ安の背景にある欧州危機に対しても全体最適化せざるを得ないというジレンマを抱えている状況にあります。

『雇用の奇跡』から「経済成長の変化に伴い、1人1人が少しずつ労働に対する考え方を変えていく事で、全体最適による雇用・経済成長の回復の兆しが見えてくる」と言う事を学ぶことができるのかも知れません。例えば、労働を「美徳」と捉えるか、聖書にあるように「罰」と捉えるかで労働に対する考え方を変える事ができるかもしれません。(労働を悪いモノと捉えた方が良いと言う意味ではなく、人生における労働の優先順位を変える際の1つの考え方として記しています。)

個人の経営→会社の経営→国の経営

今述べました通り、始めは小さな単位から経営情報を整理し、徐々に大きな単位へ統合した上で、経営情報による意志決定を行う事ができれば、支出過多の清算に苦慮する事も、投資として支出する事を過度に恐れる事もなく、適切な雇用と経済成長を実現できるのはないかと「後の祭り」とは思いつつも、今更ながら考える事があります。

弊社のミッションである「経営情報の大衆化」は安定した雇用を背景とした経済成長の実現に必ず寄与するモノと信じ、これからも実現に向けて邁進していく所存です。

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