2012.08.01

第152回 (A) 人工知能はクイズ王の夢を見る【ディーバ哲学】

株式会社インターネットディスクロージャー 専務取締役 公認会計士 川西 幸子

先日、NHKスペシャル「コンピューター革命 最強×最速の頭脳誕生」を興味深く見ました。番組は「京」と「ワトソン」に注目しつつ、世界各地で進むコンピューター革命の最前線をレポートすることで、今後の社会や日常生活の変貌の行方を予想するものでした。私は、特に「ワトソン」に興味を惹かれましたので、『IBM 奇跡の”ワトソン”プロジェクト』を読んでみることにしました。

番組で紹介されていた「ワトソン」は、アメリカの人気クイズ番組”ジョパディ(Jeopardy)”で、全米チャンピオンを破ったコンピューターとして有名です。この”ジョパディ”は、早押しタイプのクイズ番組で、知識の量で勝負すれば、コンピューターにとっては比較的簡単な挑戦に思えました。ところが、この番組の質問は高度に人間的で、かなりの長文となるものもあるようで、私には全く判らない問いですが、次のような質問と回答が例として掲載されています。

「歴史的な名前」部門で、「生涯をほぼヨーロッパで過ごしたにもかかわらず、第二次世界大戦中のほとんどの期間、バハマ総督の地位にありました。」という質問に対し、回答は「エドワード八世とは誰ですか」というものです。

内容は、全くわかりませんが、質問が単純な「Aは何ですか?」ではないことと、回答は質問文の形式で答えることは理解できます。この質問文の意図を理解するためには、高度な言語解析が必要であろうこと、また、質問に答えるために膨大な知識が必要であることも想像できます。

ところで、「ワトソン」は本当にAI(人工知能)なのでしょうか?言語解析は不完全ながら翻訳ソフト等でも実現しているし、知識を検索することはGoogleで実現されているのではないかと思います。(因みに、微力ながら、弊社のソフトでも実現されています)

私が疑問に感じたことが、読み進めるとすぐにわかりました。残念ながら、開発者も含め、多くの人が「ワトソン」はAIではないと認識しているようです。本書では、AIをめぐる騒動も含めた、プロジェクトチームの挑戦が描かれています。興味のある方は、ぜひご一読ください。

テレビ番組を見たときに感じた、次の角を曲がれば新しい世界が待っているようなワクワク感は、残念ながら裏切られてしまいましたが、着実に世界は変わっていくのだろうと思います。言葉を完璧に理解し、考え、そして学習していくコンピューターの登場する日を楽しみに待っていようと思います。そのとき、世界は一体どうなっているのでしょうか。


【参考文献】
スティーヴン・ベイカー(著)土屋 政雄 (翻訳)
「IBM 奇跡の”ワトソン”プロジェクト: 人工知能はクイズ王の夢をみる」早川書房

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