2012.09.05

第154回 (A) 単なるIFRS導入にしないために【経営・会計最前線】

ビジネスソリューション本部 IFRS推進室長 IFRS推進委員長 公認会計士 斎藤 和宣

先日7月2日に金融庁企業会計審議会から「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方についてのこれまでの議論(中間的論点整理)」が公表されました。昨年の自見金融担当大臣の発言以降開催されてきた企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議ですが、当初予定した検討項目を一巡したとのことで公表されています。
とはいえ、その中間的論点整理にあるとおり、各委員の意見にはかなりの隔たりがある状態で、残念ながら何かの結論がまとまっているわけではありません。また、その中で概括として記載されているとおり

・日本の会計基準も国際的に遜色のない高品質なものである
・会計基準の国際的な調和に向けた努力は継続していく
・任意適用の積上げは図っていく
・日本における適用のあり方は最もふさわしい対応を検討していく
・国際会計基準の開発に積極的に貢献していく

という内容を書き並べるに留まっています。個人的な理解としては、これまでのコンバージェンスやIFRSに関わる活動は継続するものの、日本におけるIFRSの適用方法については任意適用が始まって以降の方針が何も決まっていない、逆に制度としては任意適用のまま継続する中でIFRS適用企業の実績を作っていこうというのが現在の方針であると解釈しています。


IFRS適用の動向とは別の話になりますが、日本経済の低成長に対する新興国市場の成長(重要性の増大)や長引く円高の影響を受け、国内企業による製造拠点の海外移転や、海外企業の買収などの動きは活発になっています。また、IFRSの導入にあたっては、グループ会計方針の策定から展開、また現行決算と並行しての初度適用から報告年度に至るまで、親会社とグループ会社とのコミュニケーションは増加するとともに重要になっていきます。前述のように特に海外での事業が重要性を増してくる中では、距離や時差あるいは言語の壁がある海外拠点に対するコミュニケーションのための労力は計り知れないものがあると考えています。
ところで、グループ会社とのコミュニケーション量を増大させることは、情報の質を高めることや認識の共通化につながると考えています。先日ある経理部門の方にお聞きした話ですが、海外子会社の担当者と毎日電話で他愛もない会話をすることで、債権管理の課題発見につながったという事例もありました。
IFRS導入時におけるコミュニケーションアップを活用して、タイムリーで正確な情報を集める基礎を整備し、最適なグループ経営管理につなげることができるのではないかと思います。こうした視点でのIFRSとの付き合い方を目指してみるのもよいかもしれません。

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