2012.11.28

第160回 (B) 会社のつぶやき【ソリューション】

カスタマーサービス本部 アウトソーシング事業部 アシスタントマネージャー 公認会計士 青木 薫

Facebook、mixi、twitterなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といわれる、社会的ネットワークをネット上で作り上げ、コミュニケーションできるサービスが流行っています。
ここ数年で急速に普及してきた印象があり、ざっとネットで見る限りでもFacebookの推定ユーザー数が今年10月で10億人を突破したとか、日本では約1,400万人(2012年9月)になったとか、mixiの月間ログインユーザー数(月1以上でログインしたユーザー数)が約1,450万人(2012年6月)だとか、世界でも相当の数の方々が利用しているようです。
私自身は、SNSに登録はするもののコミュニケートするほどのめり込めず、ただ情報を入手するだけでニュースやメールを見ている感覚です。その意味で生活に特段支障がないので乗り遅れた感もあまりないのですが、使いこなせずにいるおじさんの体は免れないでしょう。

多くの人々にSNSが利用される目的は何なのでしょうか?趣味の領域や仕事の領域、言い換えれば、人生の領域において、より深く自身のことを知ってもらい、知り合いの輪を広げコミュニケーションすることは、日常にアクセントが加えられて、とても楽しいからなのでしょうか?私としてはSNSの画面を眺めているだけでも、知り合いの近況や世の中の意見、ニュースが分かるので、それなりに楽しいのですが・・・。
私がのめり込めない理由は、自分自身の情報を世に出していくところで、まず引いてしまうからです。何のためにどこまで出すのか、出したら何か面倒くさいことにならないのかと、あれこれと考えてしまいます。楽しいのだろうなと思いつつも、心情的にオープンしたくない感覚に襲われてしまいます。
一方、SNS上で今まさに見ているこの情報は正しいものなのか、信じて行動してよいものなのか、そもそも信頼に足るものなのかという不安も積み重なってしまいます。8割方問題ないように思いつつ、疑わしい目でみると、見れば見るほど怪しく思えてくるから不思議です。ただ単に私が心配性なだけなのかもしれませんが、根底には誰しもが持っている感覚ではないかとも思うのです。

私の所属するアウトソーシング事業部は、上場会社を中心に、主として連結決算作成業務や適時開示資料である決算短信、有価証券報告書等の作成業務を請け負うサービスを提供しております。その中でも会社の決算短信等の開示業務というのは、不特定多数の方に自社の情報を出していくという意味で、SNSに似た側面があるのではないかと思いました

それらの情報を見る方は、基本的には投資家ですから、あくまで投資の目的に利用するという前提はあるものの、海外も含めるとその対象は潜在的には数百万人規模にはなるかと思います。市場向けに発信する情報は、法律やルールに従って定型化され、時には強制的に自身の恥部(不正等)もさらけ出さないといけないという一方、HPを通じて非公式でもあらゆる情報を発信することも可能ですので、ある程度の自由はあります。
そう考えると、投資家の心を掴み、いわゆる『良い関係』を作り上げていく為に、発信する情報の質をより吟味していくことが、企業版SNS上の成功の秘訣ということなのではないでしょうか。会社のつぶやき次第ではないかと。

会社として情報を発信する側としては、何を、どこまで、どう出していくのか。出したらどんな影響があるのか悩むのではないかと思います。例えば、ちょっと細かい論点ですが、固定資産の減価償却方法を変更したとします。開示する際、その旨、理由、影響額を開示しなくてはならないのですが、ではその変更するタイミングの合理性の説明はどの程度までするのか、又はできるのか、影響額を算定する場合に旧方法の金額を算出するツールは残っているか、どの程度の精度が出せてそれで十分なのか、いろいろ検討する事項は多いはずです。また、他の会社が同じような変更している場合にどのように開示をしているか、どんな影響があったかなどを調査したりすることもあるでしょう。
ここで情報を受け取る方も、開示されている情報は正しいものなのか、信じて行動してよいものなのか、そもそも信頼に足るものなのかという不安を持っているのではないでしょうか。8、9割方は問題ないように思いつつも、残りの不安が解消されないのでは、うまく伝わったことにはなりません。情報として何を言っているか分からない、後で訂正された等があると、そうした企業との関係を続けていくのが難しくなって行くと思います。

やはりSNSをうまく使いこなすのは大変だと思います。では、どうしたらいいのでしょうか?こと企業情報開示にあっては、投資しようか止めようかと迷っている方の判断を左右するかどうか、という視点を入れると解決できるケースが多いのではないでしょうか。
開示において記載した内容や説明が、事業の展開状況とマッチしていたり、合理的な経済行動として誰が見ても「そうだよね、そうするよね」と思える記載であれば、受け取る側の不安も払拭されるのではないでしょうか。例えば、会計方針の変更は事業方針の変更やグループ再編事業、法律の改正のタイミングなどを見図るとか、影響額は1円たりとも間違っていない数字をはじき出すことより、概ね間違いではないレベルで簡略的に算出することでも十分なのではないかと思います。

開示資料の作成を請け負っていると、お客様と同じ悩みに直面します。頂いた情報の中で、より合理的と思える開示や一般の開示状況から推察できる落ち着きのよい開示、これらを集約してお客様に届けることを通じて、お客様が最終判断をよりスムーズにして頂くことが可能となれば良いと思います。

今回の情報もどのように皆さんに伝わるのか、メルマガ初心者の私としてはいささか不安ですが、折角機会を頂いたので、思いつくまま呟いてみました。私はやはり心配性なので、法律で強制されない限りSNSにのめり込むことはないでしょう。

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