2013.01.23

第164回 (A) 検索するのが仕事?情報爆発の先にある未来とは【ものづくりの視点】

取締役 技術担当 兼 開発第二本部長 兼 情報システム室長 小林 正興

「情報爆発」ということばをご存じでしょうか。昨今ビッグデータが何かと話題ですが、ビッグデータということばがビジネスチャンスとして語られるのとは対照的に、増えすぎた情報が人間の処理可能な量を大きく超えたときに人はどうやって情報と付き合って行けば良いのか、問題提起となるキーワードです。

スマートフォンや携帯ゲーム機、デジタルカメラなどで利用できるマイクロSDカードは、ご存じの通り、爪の先ほどの大きさのメモリーカードです。今や32GBが数千円程度で売られています。32GBとはどんな容量でしょうか。青空文庫の「吾輩は猫である」は、電子書籍のePub形式で約1.6MB程度。32GBには、これが2万冊ほど入る計算になります。文庫版は578ページだそうですので、けっこう厚い文庫本ですが、これを1日1冊読んでいったとしても、32GBを読み切るには60年くらいかかる計算です。

英エコノミスト誌によれば、全世界の人類が保有する情報量は2011年で1.8ゼタバイト(※)あり、2年で倍増のペースで指数的に増加しているそうです。これは先ほどのマイクロSDカードにして600億枚に相当する情報量です。隅々まで精査しようと思ったら、地球上の全人類が束になっても、とうてい調べきることができません。

情報爆発は、どこか遠い世界の話でしょうか? いえ、実は身近に感じている人も多いのではないでしょうか。

・情報を集め、整理することをしなくなった。そういえば説明書も読まなくなって久しい。何かと検索エンジンに頼ってしまう。
・パソコン、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ。何枚もあるメモリーカード。撮った写真がどこに入っているかさっぱりわからない。
・ネットサービスの数が多すぎてIDとパスワードが覚えきれない。
・スマートフォンの電話帳には1,000人を超える友人がいるが、誰の電話番号も覚えていない。下手をすると自分の番号すら怪しい。
・写真も音楽もドキュメントも、全部クラウドサービスに移行してしまった。

確実に情報爆発は人の生活を変えていることを実感します。

ソフトウェアによって動作するノイマン型コンピューターが発明されてから、まだ60年余りです。しかし、その間に人類が経験した情報の大きなパラダイムシフトは、大きく3回あるように思います。

(1) 情報そのもののデジタル化(無劣化複製)
(2) データネットワーク(瞬間的共有)
(3) インターネット検索(知識の共通化)

これらの変化は、これまで何千年もかけて実現された「石器の発明」「文字の発明」「印刷の発明」に匹敵するパラダイムシフトです。

人間の一世代に、これだけのパラダイムシフトが起きるのは、人類史上初のことです。「ついて行けない」。それはある意味、当たり前のことなのかもしれません。

そして今、もう一段のパラダイムシフトを迎えようとしています。

人の代わりに計算をしてくれる計算機。昔は貴重で高価でした。大きな会社や研究機関に1台しかない貴重な大型コンピューターを、順番待ちをして利用しました。それがWindowsの時代にひとり1台となり、気がつけば電子辞書やカーナビ、家電、スマートフォンにタブレット、ひとり何台のコンピューターを持っているのでしょうか。人とコンピューターの数は逆転してしまったのです。

情報を集め、知識を蓄えることにも変化の波が来ています。過去、人は常に情報不足であり、正しい情報を揃えることが、正しい判断のために最も重要なことでした。しかし、今では誰もが、自分でも処理しきれない情報を抱えており、情報をいかに選り分けて分析するかが大切な時代になりました。人と情報の量は逆転してしまったのです。

人は、自分が指示しきれない数のコンピューターと、自分で読み切ることができない情報を前に、これからどうやって生きて行けば良いのでしょうか。

その答えを見つけ、新しい時代を切り拓くことが、「経営情報の大衆化」を事業目的とする私たちの使命だと考えています。

※ゼタ(zetta, 記号:Z)は国際単位系(SI)における接頭辞の一つで、基礎となる単位の1021(=十垓)倍の量であることを示す。
(ウィキペディアからの引用) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%82%BF


新たな2013年、皆さまにとって実り多き一年となりますことを心より祈念申し上げます。

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ