2013.04.03

第169回 (A) 拡張現実による天体観測スカウター【IT・情報システム支援】

執行役員 コーポレートマネジメントサービス本部長 兼 アウトソーシング事業本部長
兼 人事総務部長 竹村 弘樹

先日、子供の宿題に付き合って寒空の下で天体観測をしましたが、都会では100個程度しか星は見えませんでした。しかし、どうしても星が見たかったのでiPadの天体観測アプリ(star walk)を夜空にかざしながら「うお座はあの辺りかな?」などと見えない星を想像し子供と楽しみました。実際の星は見えない夜空でしたが、iPadが望遠鏡?のファインダーとなり星が見えたのです。星の存在は事実のため仮想現実(virtual= reality)ではなく、現実を強化するという拡張現実(augmented= reality)という概念で、このような概念は急速に私たちの生活に浸透しつつあります。

私たちの太陽系が属する銀河系には、2000億個の星があると言われています。そして、宇宙には銀河が7兆3750億個以上もあると考えられており、宇宙全体ではまさに天文学的な数の星が存在しています。しかし、私たちが実際に肉眼で見える星の数はどれほどなのでしょうか。夜空で最も明るい恒星群の1等星の数は全部で21個、2等星の数は67個、3等星は190個、1等星からかろうじて肉眼で見える暗い星の6等星までの星の数は全部で約8600個あります。しかし、これは空全体の数ですから地平線より上半分しか見えないことを考えると、肉眼で見える星の数は約4300個ということになります。さらに、実際の空では地平線近くの星は「もや」などであまりよく見ることができないため、一度に見える星の数はおよそ3000個くらいだそうです。都会であればせいぜい3等星ぐらいのまでの百数十個というところでしょうか。これだけ多くの星があるのにごく少数しか見えないのはあまりにも寂しいですね。 

これらの天体は世界の多くの天文台で観測されており、また天文学研究に利用される望遠鏡は年々大規模化が進んでいます。地球から観測できる「星の数」も、望遠鏡の進化とともに現在300億兆個(欧州宇宙機関発表)と増加しつづけています。その結果、非常に多くの有意義な観測データが天文データベースとして蓄積され、人類共通の資産として多くの人が利用できるようになってきています(下表)。しかし、そのデータベース化は各観測所単位で独立して行われ、利用する場合のインタフェイスは千差万別であり、多数のデータベースを利用する研究の際の大きな障害となっていたようです。これらの課題解決に向けて国立天文台は、複数のデータベースに統合アクセスできる環境(http://jvo.nao.ac.jp/portal/top-page.do)を整備し、学者、教育機関を始め、小規模な天体観測所でも活用されています。

主要な天文データベース公開サービス
以前、とある小さな反射望遠鏡を家族で独占する機会に恵まれました。そこではこちらのリクエストに対し、オペレータがPCで天文データベースを検索しクリックするだけで、大きなドームと反射望遠鏡が自動稼働を始め、対象の天体を追尾しはじめます。私はこの装置に興味津々で、次々とオペレータにリクエストし食い入るように見ていたのを思い出します。このように、天体データベースという過去の観測データの蓄積と公開データは世界各国の観測所で利用され、肉眼では見えない天体を誰でも捕えられるようになっています。 

さて話は変わりますが、近年、拡張現実という世界が私たちの生活に急速に広がっています。拡張現実とは、コンピュータが現実を拡張する手段として視覚・聴覚・触覚など人のすべての感覚器官と体性感覚に対する情報提示で、仮想現実(バーチャルリアリティ)と比較し、現実世界のGPS、Wi-Fi等の位置情報や物体などの関連性も重視され、その価値には、遠くのものを近くに見せる・見えないものを見えるようにする・複雑な情報を直感的にするなどがあります。これらの技術の発展には情報提示デバイスの発展も重要な要素であると言えます。例えばスマホ、携帯ゲーム、モーションキャプチャ、タブレット、最近はヘッドマウンテッドディスプレイやコンタクトレンズ等の発展が大きく関係しています。拡張現実の国内市場は2009年の200億円からスマホの普及により2015年には1800億円になるといわれており、その分野は、観光(外国人旅行者向けなど観光・イベント案内)、商品・店舗販促(腕時計・靴などの試着)、書籍・教育(書籍とCGの合成、製品マニュアル)、ゲーム等、急激に拡大しています。

拡張現実に類似したツールとして思い浮かぶものがあります。例えば私が子供の頃に憧れた「ドラゴンボール」に登場する相手の戦闘力を見ることの出来る片眼鏡形の表示装置「スカウター」なども拡張現実の一種ではないでしょうか。冒頭で紹介したiPad+天体観測アプリは、私の中では別名「天体観測スカウター」です。

ビジネスの世界でも事実を基礎とし意思決定を繰り返していますが、その基礎情報はなかなか複雑で、容易に活用できるようにするという努力は永遠の課題でしょう。弊社は、複雑な経営情報を多くの方が容易に検索・意思決定し、スピーディに行動につなげられる「経営情報の大衆化」をミッションとしています。現在、弊社では大量に蓄積された企業情報データベース(※1)や自社の現在位置を表現するための各種経営ソリューション(※2)、そして肉眼を補助するスカウターのような存在のビジネスインテリジェンスツール(※3)を活用して、お客様の経営品質やアクションスピード向上に貢献しています。近年の拡張現実の技術や端末の発展のスピードを考えると、近い将来、経営会議で参加者が経営情報スカウターを装着し、事業責任者や営業担当者の姿に事業成績等の経営情報がオーバーラップされるような、複雑な情報を直感的に利用できるコミュニケーション環境になっているかもしれないですね。

※1 開示ネット:http://www.internet-disclosure.com/products/kaijinet/
※2 各種経営ソリューション:http://www.diva.co.jp/solution/  http://dbic.co.jp/outline.html
※3 ビジネスインテリジェンスツール:http://www.zdh.co.jp/products/

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