2013.04.03

第169回 (C) 「制度連結」レベルの経営情報で満足できますか?? 【本気で連結業績を向上するための経営管理】

執行役員 主席コンサルタント 森本 朋敦

●「制度連結」では連結業績の向上はできない 
驚くべきことに、今でもグループとしての連結業績管理を「制度連結」レベルの情報で行っている企業は決して少なくありません。しかし、連結業績管理は「結果を知る」ために行うのではなく、「業績を向上する」ために行うわけですから、それで本当に業績を向上できるでしょうか。
下図に「制度連結」レベルの営業利益までのP/L例を記載しています。ここで分かるのはせいぜい、
 ・当期は増収減益となった 
 ・減益の理由は、売上原価、販管費ともに増加していることにある
 ・特に売上原価は売上比率も増加しており、原価低減が必要である 
ということくらいではないでしょうか。 

経営者としては、この程度ではもちろん満足できません。なぜ原価率が悪化しているのか、為替の影響か(その影響は売上も受けているはずだが)、原料価格の上昇によるものか、生産性が悪化しているのか、特に原価率が悪いのはどの製品か、生産性が低いのはどの工場かなど、知りたいこと・知るべきことは数々あります。連結業績を向上するためには、いずれも知らなければならないことばかりです。しかし、制度連結レベルの情報では、これらの経営者の情報要求に全く応えることができません。 

●なぜ「連結」で見ないといけないのか 

このように言うと、「単体では分かるのですが」という答えが返ってくることがあります。確かに単体、特に親会社本体であれば、経営者の情報要求の多くに速やかに応えられる企業は少なくないと思います。
しかし、「単体」と「連結」とは根本的に異なる、場合によっては単体情報は却って「害」になることがある、という点を理解しておく必要があります。
話を単純化するために、中国の製造子会社Aで製品X、Yを生産し、米国販売子会社Bとドイツ販売子会社Cで販売している企業グループがあると想定します。各社の業績が下図のようであった場合、「単体」情報だけだとどのような行動になるでしょうか。 

中国のA社は製品Yの方が儲かるので、できるだけYを作ろうとします。一方、販社B、CともにXを売った方が儲かるのでできるだけXを売ろうとします。その結果、製品Yの在庫が積み上がっていきます。
ところが、これを連結ベースで見た場合、実は下図の右のような業績になっています。 

米国ではXの方が儲かるのは単体と同様ですが、ドイツでは実際はYの方が儲かるということが分かります。この時、中国では両国の販売政策に基づいて生産配分を決定すべきなのです。もし中国の生産能力に限界がある場合、最優先すべきなのは米国向け製品Xということになります。
この簡単な例から分かるように、詳細な業績把握は各社の単体に任せておけばよいというスタンスでは、全体最適から見て誤った結果をもたらすリスクが非常に高いと言わざるを得ません。筆者が自動車メーカーで市場別・車種別連結収益を把握するプロジェクトを支援させていただいた時、北米販売統括会社の社長が「これでようやくやるべきことが分かるようになった」とおっしゃっていたのが印象的です。

このように、「制度連結」でも「単体業績」でも連結業績を向上するためには余りにも役不足であり、本当に連結業績を向上するための「仕組み」とは何なのかについて、これから当コラムで皆さんとともに考えていきたいと思います。 

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