2013.04.17

第170回 (C) 連結業績向上を促す「仕組み」の4本柱 【本気で連結業績を向上するための経営管理】

執行役員 主席コンサルタント 森本 朋敦

●連結業績向上は『連結管理会計』から
業績を向上するためには、まずは「業績」を把握しなければ始まりません。「計測できないものは改善できない」ということです。換言すれば、業績改善アクションにつながるように「業績」を把握しなければならいないということになります。これが『連結管理会計』というわけですが、特に下記が重要な検討要素になります。

    • 管理単位:どのような軸で、どのような粒度まで業績を把握するか。例えば、製造業であれば製品に対するアクションは必須になると思いますが、それは製品グループでいいのか、品番まで見る必要があるのかということや、B2B事業であれば顧客軸は必要ないかといった検討要素です。
    • 管理項目:その単位で「何を」見るのか。キャッシュフローなのか利益なのか、利益ならどのレベルの利益まで見るのかという検討要素で、「業績」の定義とも言えます。
    • 管理サイクル:どのような頻度とタイミングで業績を見るのか。例えば、製品グループ別損益は月次5日では見ておかないと適切なアクションは打てないが、事業別フリーキャッシュフローであれば四半期でよいというような検討要素です。

また、単に見るだけでは改善アクションには不十分ですので、要因別差異分析(為替差、数量差、単価差など)やシミュレーションも必要になってくると思います。 


●製造業では『原価情報』が特に重要

製造業の場合、管理会計情報の中でも最も重要になるのが『原価情報』です。特に素材や部品などのB2B製造業では、売上に対して圧倒的なウェートを占めるのが製造原価ですから、これを見える化して分析できないと、業績向上のための情報がほとんど入手できないのも同然になってしまいます。
通常の連結財務諸表レベルですと、「売上原価」一本にサマリーされてしまいますので、管理会計情報としては、これをいかに分析可能な原価情報として把握するかが非常に重要です。固変分解も当然ですし、原料価格変動が激しい業種であれば主要原料品目別の原料費をつかむことも必要になります。
また、前工程が韓国の子会社、後工程(完成品工場)が中国の子会社というように、製造工程がグループ会社をまたがる場合には、完成品の原価構成だけを見ていても前工程費がすべて原材料費になってしまうため、本当の原価構造が分からないという問題が生じます。生産の急速なグローバル化を背景に、最近では「連結原価計算」のニーズが増えてきています。 


●原因系情報としての『KPI』

連結管理会計や原価情報を充実することによって、「どこに」問題や業績向上余地があるかをかなり詳しく把握することはできますが、「なぜそうなっているのか」という原因までは分かりません。原因が分からないと、どれだけタイムリーに業績を把握しても、結局は原因分析に時間がかかってアクションをタイムリーに打てないという問題が残ります。
そこで、業績に重要な影響を与える要因を業績管理指標(KPI:Key Performance Indicator)として設定し、業績と併せてモニタリングしていくような取組みが必要になってきます。販売単価、販売数量、工場稼働率、歩留などが最も典型的なKPIの例です。

●目標を設定して改革・改善を促す『経営計画』
業績把握→原因分析→改善アクション特定までいけば、その次のステップとしては、改善目標を設定し、それを計画化して実行を動機づけるということになります。期中であれば見通しに織り込む必要がありますし、来期テーマであれば予算に織り込んでいく必要があります。
また、年度計画(予算)や見通しの上位計画として中期経営計画が策定されるのが一般的ですが、中期経営計画は、収益構造を改革するための事業構造改革や投資の基本計画という位置づけになりますので、端的には「勝ち方」を示す指針ということです。従って、中期経営計画においては、「それで勝てるのか」ということが重要になりますので、管理会計やKPIなどの内部情報だけではなく、ベンチマークなどの外部情報を用いた検討が特に重要になります。

今後は『連結管理会計』『原価情報』『KPI』『経営計画』という4本柱を具体的に考察していきますが、まず次回からは『連結管理会計』について考えていきたいと思います。 

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