2013.05.01

第171回 (B) 連結管理会計の問題は「連結」にある 【本気で連結業績を向上するための経営管理】

執行役員 主席コンサルタント 森本 朋敦

●経営者が求める連結管理会計情報

経営者は業績を改善・向上するために様々な疑問や懸念をお持ちなので、会計データを扱う部署に様々な質問をされます。最も典型的と思われる質問例を下記に掲げます。

このような経営者の疑問(=知りたいこと)にどれだけ答えることができているでしょうか。お客様に伺うと、よく返ってくる答えは「単体だったら分かるんですけど」という回答です。しかし、経営者は連結数字で市場から評価されていますので、当然知りたいのは連結ベースでの答えです。


●「連結」が諸悪の根源

先ほどのような経営者が知りたいことに応えるのが本来の連結管理会計の役割のはずなのですが、残念ながら多くの企業ではまだそのような状況にはなっていません。その原因の一つには、連結管理会計が余りにも制度連結の考え方・やり方に引っ張られていることにあると思います。
まず、制度連結は、経営者が業績改善を進めるための連結制度ではなく、IRのための(つまり投資家のための)連結制度ですので、多くの情報をサマリーしてしまっています。ほとんどの情報は企業グループ全体の情報ですし、もう少し詳細な情報としてはセグメント情報くらいしかありません。しかし、2つや3つ程度のセグメント情報では、当然のことながら先ほどのような判断に足る情報にはなりません。このように、情報単位をサマリーしてしまっているという問題がありますし、サマリー問題は原価情報でも端的に表れています。ほとんどの企業にとって、売上に対して最も構成比が大きいのが売上原価であるにもかかわらず、連結損益計算書では「売上原価」という表示科目一本にサマリーされてしまっています。このような情報では原価低減に役立つ情報は得られないことは言うまでもありません。
また、制度連結はP/L・B/S・C/Fなどの金額情報が大部分を占めていますので、ビジネスにおいて重要な情報である、販売・生産数量、販売単価、原材料価格、製品MIXなどの非会計情報を提供していません。グループ内の管理会計をこのような非会計情報なしで行っている場合には、ビジネスの現場で何が起こっているかを把握することができません。
さらに、制度連結は実績情報の収集・処理が中心になっていますので、予算を立てて予実差を把握するということはできても、「それでどうなる」「それでどうする」という業務改善には不十分です。
このように、制度連結レベルで連結管理会計を行っている場合には、業績評価はできても分析や予測ができないという状況になってしまいます。ところが、それで良しとする経営者は滅多にいませんので、結局は、本社や各子会社で分析や予測のための膨大な作業が発生してしまいます。しかし、膨大な作業であるがゆえに、分析や予測結果を報告するまでに時間がかかり過ぎてしまい、情報鮮度が悪くて経営を満足させられないという残念な結果に終わってしまいます。


せっかく連結管理会計を行うからには、本当に経営にとって有用な情報を提供しなければ勿体ない話ですので、次回以降でその要件を具体的に検討していきたいと思います。

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