2013.08.07

第178回 (C) 連結管理会計「7つ道具」(5) 【本気で連結業績を向上するための経営管理】

管理会計事業本部長 森本 朋敦

●「7つ道具」その6:期間を広げて見る
これまでは主に期中におけるPDCAに連結管理会計をどう使うかという視点で述べてきましたが、期中でのPDCAの結果、次に焦点が当たるのは来期年度計画(予算)の策定です。計画策定に関しては、後日詳しく検討する予定ですが、ここでは「期間を広げて見る」ということと、「外部情報に照らしてみる」という点について述べたいと思います。
計画策定に当たっては、ややもすると前期比較との観点に偏りがちになりますが、その前に観察期間を広げて長期トレンドを見ておくことが重要です。簡単な例をあげれば、下図は日本の登録車メーカーの10年間の売上高総利益率(粗利率)の推移です。リーマンショック時に特に落ち込みが大きいとはいうものの、ほぼ一貫して粗利率は低減しています。自動車メーカーの製造原価の8割以上は原材料・部品費ですから、当然のことながら、自動車部品メーカーに対するコストダウン要請はますます厳しくなることはあっても緩むことはないという前提に立たないといけないことが分かります。

また、製品の側面においても、製品別収益の前期実績だけではなく、複数会計期間をまたがってのトレンド(製品ライフサイクル収益)を見ておく必要があります。各製品からの投資回収がどの程度進んでいるのか、各製品はライフサイクル上のどの局面にあるのかを把握しておかないと、合理的な計画、目標設定はできません。

●「7つ道具」その7:外部情報と照らしてみる
計画策定や目標設定に当って、もうひとつ重要なのが、外部情報と照らしてみることです。特に同業他社や、事業特性が類似している他企業との比較は重要です。いわゆるベンチマークです。企業は競合他社の影響を全く受けずに競争しているわけではありませんので、他社の業績がどのようになっているか、それと比較して自社が優れているところ、他社に劣っているところはどこか、つまりどこを重点的に改善すべきかを知ることは当然重要です。
例えば、粗利率では遜色がないものの、営業利益率で劣後している場合、原価低減活動もさることながら、営業効率の向上や管理業務の効率化が相対的に重要性が高いということになります。また、グローバル化のための事業投資や設備投資を行うためには、その原資となる営業キャッシュフローがKEYになりますが、そこで劣後している場合には、他社よりも更に収益性を高めるか、在庫削減を更に強力に推進するのか、あるいは実効税率が高すぎるのでTax Planningに取組む必要があるのか、といった分析が必要です。
このように、内部情報である管理会計情報の分析活動だけではなく、外部情報、特に他社業績との比較分析の中で、設定すべき目標と取組むべき施策を検討するといった活動が必要と考えます。内部情報だけではややもすれば過去の延長線上に留まりがちになり、ブレークスルーの視点が生まれにくいためです。外部情報の分析は必ずしも毎月行う必要はありませんが、期首予算策定時や修正計画検討時などに実施することはイノベーションのために不可欠です。

●「7つ道具」まとめ
ここまで連結管理会計7つ道具と題して、連結業績向上のために管理会計が満たすべき要素を述べてきました。それを下図に要約していますので、皆さんの企業においても、そのような視点で自社の連結管理会計の有用性をチェック頂ければ幸いです。


ここまでは「連結管理会計」について検討してきましたが、次回からは製造業において特に重要な「原価」にさらに焦点を絞って検討していきたいと思います。

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