2013.10.16

第183回 (C) KPIとその活用方法【本気で連結業績を向上するための経営管理】

管理会計事業本部長 森本 朋敦


●KPIとその活用方法
第2回のコラムでも述べたように、連結管理会計や原価情報を充実することによって、「どこに」問題や業績向上余地があるかを把握することはできますが、「なぜ」そのような業績になっているのかという原因までは把握できません。原因が分からないと、タイムリーにアクションを打てないという問題が依然残ってしまいます。
そこで、業績に重要な影響を与える要因を業績管理指標(KPI:Key Performance Indicator)として設定し、業績と併せてモニタリングしていくという取組みが増加しています。特に、国内とは違って海外については日本にいてはなかなか事業実態が見えないので、せめてKPIだけは見える化して事業状況を日本本社でも把握しておきたいというニーズが増えています。
KPIと言っても、何も特別な指標を設定するという訳ではなく、売上高で言えば、主要変動要因は販売数量、販売単価、為替の3要素ですから、それぞれがどんな動きをしているかを把握しておこうということです。もし販売数量減、販売単価下落、円安という状況で円換算後の売上高が増加しているのであれば、実は実力値は向上するどころか低下しているということが見えてきます。また、主要市場の販売数量を更に市場規模とシェアに分解して把握すると、たとえ販売数量が増加していたとしても、市場規模増大、シェア低下となっていたとすれば、相対的実力値は低下しているということになります。
このように、仮に売上高をKPIに分解して把握することができれば、売上高減少の原因はシェア低下であるということが分かりますので、シェア回復のために何をすべきか、その場合にどれだけのマーケティングコストがかかり、販売数量増加を通じた粗利増加との関係でネットでどれだけの利益改善が見込めるかということを検討できるようになります。


●KPIの活用方法
KPIの活用方法は、大別すると3つあると思われます。
一つの活用方法は、上記のように、重要な業績変動要因に分解して業績との関係で見ていくというものです。この場合は、勘定科目の金額をその構成要素に因数分解的に展開するという方法が用いられます。例えば先ほどのように、売上高=販売数量×販売単価×為替=市場規模×シェア×販売単価×為替という具合です。
二つ目の活用方法は、業績に影響を与える重要な先行指標(これが悪化すると今後の収益が悪化するというアラートになるような指標)を見える化して、先手管理を行っていくというものです。例えば、商品力に自信のある自動車メーカーがあるとします。この場合、店舗に来店いただいたお客様に試乗車に乗っていただけばほぼ間違いなく気に入っていただいて成約できると考えれば、「試乗率」を見ておけば、やがてこれが成約率につながり、ひいては売上高向上につながるというシナリオが想定されます。そうすると、このメーカーは、ディーラーの試乗率を先行指標としてモニタリングし、試乗率が低いディーラーにはお客様に試乗していただくような営業活動指導をするべきだということになります。このような活用方法を想定する場合は、単に因数分解するだけでは重要な先行指標にはたどり着けませんので、業績向上シナリオを作り、その中から先行指標を特定するという指標設定方法が必要になります。
三つ目の活用方法は、もっと中長期的な活用方法です。業績管理はどうしても短期、単年度に目が行きますが、継続企業としては中長期的な施策を着実に進めていかないと足腰の強い成長や収益構造の改革などは果たせません。そのため、中長期戦略をBSC(バランスト・スコアカード)等の形式で整理し、その戦略施策の進捗や効果を測定するためにKPIが活用される場合もあります。

これらはどれか一つの目的で活用されるというよりは、いくつかの目的を組み合わせてKPIを活用されるケースの方が多いと思います。

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