2013.11.27

第186回 (A) 武道の試合前の“礼”の意味をご存知ですか?【ディーバ哲学】

連結会計システム開発部 シニアマネージャー 中西 明

突然ですが、近くにいる方と腕相撲をしてみて下さい。できれば同じような体格・筋力の方と勝負をしてみて下さい。勝負が決したら同じ方ともう一試合して頂きます。が、その前に、今度は勝負を始める前にお互いに立って向かい合い、一試合目の敗者は勝者に対して「お願いします」という気持ちを込めて、心静かに深く一礼して下さい。そして一礼の後、二試合目を開始して下さい。
二試合目の結果はどうなりましたか?

先日、2009年・2010年の武術の世界チャンピオンであるレノンリー氏の講演を拝聴しました。
レノンリー氏は幼少の頃はいじめられっ子で、「強くなりたい!」という思いから武術を習い始め、高校に入る頃には喧嘩をしても絶対に負けない存在にまでなったそうです。そんなレノンリー氏もやがて学校を卒業し社会へと出て行ったわけですが、社会で揉まれていくうちに大きなことに気づいたそうです。
喧嘩が強いということは子供の世界においてはとても大きなメリットであり、これにより何人もの子分を従えることができました。しかし、大人の世界においてはどれだけ喧嘩が強くても何の役にも立たないと言うことを感じるシーンに直面し、一般社会においては、「武術」ではなく「武学」が重要であるということに気づかれたそうです。
「武学」の重要な精神・ポイントは自他不敗、即ち「相手を敗けさせず自分も敗けない」だそうで、一般的な組織のマネジメントのノウハウは武学を参考にしている点も多々あり、著名な経営者の中にも武学を学んでビジネスに活かされている方も多くいらっしゃるそうです。
このレノンリー氏は、これまでのご自身の経験を踏まえ、経営というものを武学の視点からアプローチし、多くの企業や団体向けに講演をされている方のお一人です。

さて、冒頭の腕相撲に戻りますが、このやりとりはレノンリー氏の講演の中での一コマです。
多くの場合、不思議なことに二試合目の結果は一試合目と逆転しているはずです。これは二試合目を始める直前に、一試合目の敗者が行った礼の効果によるものです。
当日の氏の講演の中で、礼というものの意味について考えさせられました。私たちは普段の生活の中で何気なく挨拶をしたり、或いは日本人独特のお辞儀などを通じて礼を尽くします。では、なぜ私たちは礼を尽くすのでしょうか?
私自身は子供の頃は比較的きちんと挨拶をする行儀のよい子供でしたが、それは親から言われてやっていただけでした。そして大人になった現在もマナーとして挨拶をしているだけであり、その効果について考えたことは一度もありませんでした。むしろ、目に見える効果など無いとさえ思っておりました。そんな私が前述の実験の結果を見て、礼に対する認識を大きく改めるに至ったわけです。
講演当日は、他にもいくつかの実験が行われました。例えば同じように腕相撲をする場合でも、試合前に双方が一礼をしたケースもありました。このケースにおいては、大抵の場合は先に礼をした方が勝利を収めるのです。
ウソでしょ・・・と思いますよね?
このメルマガを執筆にするにあたり、念のためオフィスのミーティングルームでメンバーを数名集めて実験を試みましたが、隣の部屋を利用していた若い女性社員から「うるさい!」と叱られてしまい、残念ながら実験は最後までできませんでした。
でも事実なのです!

非科学的な内容と思われるかもしれませんが、これは礼によって筋力が瞬間的にアップするわけではなく、単に礼により心の準備が整い、それにより前述の結果へと導かれているのです。ですからこの礼の効果は、腕相撲のような力比べの時のみならず、例えばお客様との商談や社内ミーティングなどの際にも、相手よりも先に礼を尽くすことによりその場をリードし易い環境となります。また、普段の生活の中においても率先して気持ちを込めた挨拶をすることにより、多かれ少なかれその効果を得られるはずです。

マネジメント云々以前の、私たち人間のベースの部分の話となりましたが、非常に興味深い内容でしたので紹介させて頂きました。礼を尽くすということは、自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮できる可能性を秘めており、かつデメリットは一切ありません。であれば、この技を利用しない手はありませんよね。
明日からは恥ずかしがらずに元気よく挨拶をし、周囲の方々に対して積極的に礼を尽くされてみては如何でしょうか?

あ、最後に大切なことを書き忘れました。
礼の効果を引き出せるのは日本人の特権だそうです。外国人の方が礼をしても、残念ながらそれほど大きな効果は得られないそうです。日本人は本能的に礼の重みと効果を理解しているのかもしれませんね。

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