2013.11.27

第186回 (B) “運を天に任せて”いるだけで良い結果を出すことはできますか?【ディーバ哲学】

プロダクト事業本部 事業推進室 シニアマネージャー 上地 浩

近年、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディア(SNS)の利用が盛んになってきています。個人での利用だけでなく、企業の情報発信やマーケティングのツールとしての利用も進んでいるようです。一方、企業内で利用する社内SNSやエンタープライズ・ソーシャルという利用のしかたもあります。弊社でも、最近、グループ会社共通のインフラのひとつとしてソーシャルメディアを使うようになりました。

新しいメディアを活用するためには、そのメディアの特性を理解した上で、どのような目的で使用するのかを考える必要があると思います。このようなメディアを導入するときに、「社内情報共有の促進」、「メンバー間のコミュニケーションの強化」というごく一般的な言葉でもって、その目的が語られることが多いように思います。それも決して間違っているとは思いませんが、正直なところ、いまひとつ、なるほどと思うところまではいかないです。

それなりのIT投資をして利用するわけですから、どのようにビジネスに役立てるかはしっかりと考えておきたいところです。必ずしも直接ビジネスの結果に反映されるものでもないとは思いますが、何らかの形で企業にとって良い効果がでることを期待したいです。

ガートナーの発表※1によると、社内SNSを導入している企業1000社を調査した結果、その成功率はわずか10%とのことです。世の中の企業の70%以上は、すでに社内SNSを導入しているという状況において、この成功率はショッキングな数字です。それだけ、ソーシャルメディアというテクノロジーを利用することがむずかしいということなのでしょう。

社内SNSの利用がうまくいかない状況を、ガートナーは”Provide and Pray”アプローチ、と表現しています。意味としては、システムの提供まではするけど、それが実際のビジネに役に立つかどうかは「運を天に任せている」ということになるでしょうか。

「運を天に任せる」アプローチと聞いてしまうと、誰もが、そういうやり方ではうまくいくはずないと思うと思いますが、実際には、そのような状況を目にすることも少なくないような気がします。ソーシャルメディアというテクノロジーとしても新しく、しかも、その特性をとらえることが非常にむずかしいところが、結果として10%という成功率になっているのだと思います。

ガートナーの説明の中でも、新しいテクノロジーを導入するときにシステムのプラットフォームを導入することだけ考えて、利用するユーザーが抱えている課題に対してのソリューションやビジネスとして成果についてよく考えていない、という問題を指摘しています。やはり、システムを導入して、あとは何か良いことがあるだろう、と期待しているだけではだめなのでしょう。

ソーシャルメディアについて、自分なりに、調べたり、考えたりしてみました。ソーシャルメディアが持つ特性を生かして効果を出すことができる領域は、いわゆる従来的なイメージでの「情報共有」の領域ではないのではないかとういう気がしています。情報は、単純な寄せ集めではそれほど価値はなく、それらを論理的に関連つけて体系化・構造化することにより、価値を高めることができると思います。その意味では、ソーシャルメディアは、不向きのように思います。ソーシャルメディアの特性として、メッセージ性が高いというのがあると思います。情報のやりとりのタイミングや共有する空間においてアドホック的であり、インフォーマルであるがゆえに、情報としての完全性は不足するものの、単純に情報の伝達というよりは、メッセージを伝え、そのメッセージを受け取った人に情報とは別のものを与えることができると思います。

たとえば、人が物事を考えるときには、頭の中で情報を論理的に組み立てる作業をしていると思いますが、必ずしもそれだけでは十分ではなく、なにかひらめきのようなものが必要になる状況があると思います。とくにまだ誰もやっていないような領域では、アイデアが必要になるはずで、そういうものは、何か調べればわかるというものではなく、ふとしたきっかけでインスピレーションのような形でやってくるものだと思います。誰かが思いついた小さなアイデアが、ソーシャルメディア上を流れるメッセージを媒体として、別の人のところで育ち、大きな結果を生み出すことになるかもしれません。

メッセージ性ということでは、人の心や感性に影響を与えることにもなると思います。会社のビジョンや価値観みたいなものは、言葉では表現されていたとしても、その言葉を覚えただけでは意味のあるものでもないと思います。なるほど、と心から実感できたときに、はじめて意味あるものになると思います。日々の業務のやりとりい中で、メッセージをとおして、そういうものも共有できるのではないかという気がします。

アイデアの創出にしろ、ビジョンや価値観の共有にしろ、長い目で見ると、会社のカルチャーの形成に、大きな影響を与えるものだと思います。

そんなむずかしいこと考えないでどんどん使えばそのうち何か良いことがあるだろう、で済ましてしまうか、目的をもって意図して使うかでは、結果において大きな違いがでるのではないかと思います。

わたしたちも、ビジネスソフトウェアを開発・販売し、サービスを提供する立場として、ユーザーにどのように貢献するかをしっかり考える必要があると、あらためて思いました。

※1 参考文献
Gartner Says the Vast Majority of Social Collaboration Initiatives Fail Due to Lack of Purpose, Gartner Press Release, April 2, 2013.

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