2013.12.25

第188回 (C) 連結業績向上のための年度計画【本気で連結業績を向上するための経営管理】

管理会計事業本部長 森本 朋敦

年度計画の策定
年度計画は、基本的には1会計年度(12ヶ月間)を対象とし、狙うべき姿としての中期経営計画を確実に実行するための年度活動方針、成果目標、具体的経営資源配分(投資、費用)、そのための活動計画を明確化するものです。通常は、財務計画(会計数値計画)としての予算と、各部門・各社が具体的に何を行うかという業務計画とから構成されます。

これを単純に各部門・各社の積上げ(ボトムアップ)で策定すると、単なる現状業務の延長線にしかなりませんし、確実にできる計画(低い目標)にしかなりませんので、これを回避するために、トップダウン的に「ガイドライン」が策定され、これを達成するための積上げと調整が行われるのが通常です。

この「ガイドライン」は、「達成するだけの価値があり」、しかも「努力すれば達成可能」なものでなければなりません。従って、まずは中期経営計画がガイドライン検討に当っての基本方針となります。これを来年度でどこまで達成すべきか、どこまで達成できるかの目標を設定していくのがガイドライン策定作業です。

そのためには、まず管理会計・原価構造の実績を分析し、収益構造や原価構造のどこに問題があるかをより詳細に分析するとともに、KPI実績を分析し、どの施策・活動に問題があるか、あるいは効果があるかを見極めていく作業が必要です。次に、今後1年間で何をどこまで持っていくか・持っていけるかを、施策とその効果を想定しながら数量・為替・単価などのシミュレーションを行い、適切な目標レベルと重点施策体系を決定し、ガイドラインとして提示するということを行います。管理会計、原価情報、KPIといった情報は、このガイドライン策定のためにも不可欠な情報となるわけです。


「予算原単位」の重要性 
ガイドライン提示後は、それを最大限遵守すべく各部門・各社が予算・業務計画を策定し、本社がそれを積み上げて目標や活動の調整を行い、年度計画としてFIXするというプロセスになります。
ここで重要なことは、単に金額としての予算を編成するだけではなく、その予算の根拠を明確化しておく、更にはデータで持っておくということです。この根拠情報を筆者は「予算原単位」と呼んでいます。例えば、売上予算100億円というのは、為替前提:$1=100円、数量:1万個、単価:1万ドルというような情報です。さらに、その数量が前年比2,000個増であれば、何をやることによってそれを達成するのかという施策が業務計画に表れているということです。

予算は編成すること自体が目的ではなく、それを目標として1年間PDCAを回していくスタートラインを作るということですから、PDCAを回していくために必要な要素を盛り込んだ予算を編成しなければなりません。単に売上予算100億円としか立てていなければ、売上実績が90億円だったときに、何が悪かったのか、どこを改善すべきなのかが分かりません。この10億円の減少は、為替なのか、数量なのか、単価なのかが分からないと予算未達の原因が分かりませんし、それが目標通りにいっていないのは、どの施策に問題があるのかまで特定できないとアクションに結びつきません。結局、業績向上を目指すためには、そのスタートラインとなる年度計画、すなわち予算と業務計画がどれだけ練られ、どれだけ分析可能な状態になっているかということに尽きると言っても過言ではありません。「たかが予算、されど予算」ということです。


これまで15回に渡り、連結業績を向上するための経営情報をテーマに、主に「管理会計」「原価情報」「KPI」「経営計画」について述べてまいりました。紙幅の関係で説明不足の面が多々あったかと思いますが、ご容赦いただければ幸甚です。
当コラムをお読みいただいた方々に改めて感謝申し上げて筆を置くことといたします。誠にありがとうございました。

(完)

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