2014.01.15

第189回 (C) 2014年の年頭にあたって~紅白歌合戦に想う~【経営・会計最前線】

株式会社アバント取締役/株式会社ディーバビジネス・イノベーション代表取締役社長 川本 一郎

新年あけましておめでとうございます。

さて、暦上の休みが長かったのでゆっくりと正月を過ごされ、大晦日の紅白歌合戦もご覧になられた方が多かったと思います。殆どの方の生前から始まった長寿番組も64回を迎えた訳ですが、流行歌は時代とともに移り変わりますので洋楽派の私はほとんど聞いたこともない歌手やグループとともにゆく年を送ることになりました。一方で同じく休み中の某紙の社説では一向に代り映えしない日本企業・産業構造を憂いていました。ここ数十年大企業の顔触れが全く変わっていない状況に触れ、新旧交代が構造的に進んでいない日本の産業では構造転換はもとよりイノベーションが起こりにくいという論調だったと思います。

確かに国内の2013年末時点の時価総額上位10社は自動車業界2社、メガバンク3行、通信業界4社に他1社で、社歴50年未満という意味ではソフトバンクの1社のみ(前身の会社の履歴も考慮)。逆に世界でみると51年前に創立されたWal-Martを含めればApple、Google、Microsoft、Berkshire Hathaway(*)と合わせた5社が該当するという違いがあります。もっとも、ダイナミズムに富んだ米国の企業が多いのですが・・・

(*:Berkshire HathawayはWarren Buffettが経営参画した時期を創立とみなしています)

実際、私もベンチャー企業を経営する経験から横並び意識の強い金融業界からの資金調達、雇用改革を筆頭にした岩盤規制といった点に制約を感じたことは多々あります。特に日本の場合、労働市場がいびつに固定化しており、大企業ではない立場で優秀な人材を採用する時の困難さは大変なものです。

他方、ブラック企業やワークライフバランスが取り沙汰されていますが、これは労働市場が機能していないため転職を避けるインセンティブが労働者側に働いているゆえの問題と推察されます。もはや新卒大量一括採用や年功序列型賃金制度が崩壊しつつあるといえるでしょう。とはいえ労働市場改革はどの国でも政治問題化しており一朝一夕に成し遂げられる訳ではありません。だとすれば、逆に企業の経営者は自社の社員に多様な就業機会を提供するために規制や既得者権益に安住せずもっとリスクをとって産業構造の転換に挑戦することが大所高所の観点では必要なのではないでしょうか。

逆説的ではありますが、大手企業だからこそ積極果敢に新規事業へ挑戦する。口銭ビジネスから投資ビジネスへと切り替えた商社組織のように多事業経営とポートフォリオ管理を取り入れ、いざという時には祖業からも撤退するだけの胆力を持つ。また新規事業を展開する時も人材はなるべく社内から調達する。逆にいうと社員をいつどの業種・役割につけても大丈夫なように教育しておく。

リストラされ固定化された労働市場に放り出される境遇は想像を絶します。特に終身雇用を前提とした年代の社員であれば尚更です。一企業の努力で労働市場関連の岩盤規制に与える影響などたかが知れていますが、自社の年功序列の仕組みを変えることは現実的な解になりえます。たとえば従来は出世が見込めないまま退職が近づいた社員を窓際もしくは閑職に追いやるのを常套手段としていました。逆に追いやられた方も退職金を目当てにじっと待つだけでしたが、これからは50歳を超えても新しい職域、役割に挑戦できる環境が当たり前になれば、社員一人ひとりはそのような配置転換に備えて準備し、適応する努力をせざるをえません。労働市場が機能していないのであれば、企業側でそのような挑戦を支援するとともに多様な環境を提供することにもっと腐心してもいいように思います。


ちなみに冒頭の紅白歌合戦には出ていないものの30年以上前からヒットメーカーとして知られる山下達郎は少し前になりますが某紙インタビューにおいて流行歌の世界で「職人でいる覚悟」を次のように語っていました。

「(デジタル化の波に対して)いつまでも文句を言っている訳にもいかない。なぜならポピュラーミュージックというものは時代とともに生きている音楽だから。僕は職人の魂で仕事をしたいと思うが、自分の昔の価値観や経験則にこだわり過ぎるとたちまち時代に取り残される。それを避けるためには必死に自己変革や学習を続けるしかない。」


今年も自己変革を続けるアバントグループをよろしくお願いいたします。

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