2014.02.12

第191回 (A) 内部取引 楽にな~る 【経営・会計最前線】

プロダクト事業本部長 公認会計士 中山 立

最近、巷ではマラソンがブームのようですが、私も2年ほど前に会社で出場した駅伝大会で惨敗したのをきっかけに、ランニングに取り組み始めました。日々、深夜の真っ暗な河川敷を走りこんだ甲斐もあり、昨年末にはフルマラソンに出場し、努力目標として設定したタイムをクリアして完走できるまでになりました。
タイムを縮められた秘訣は、1に「気合い」で、2に「根性」です。

さて、経理部門の皆様におかれましては、マラソンのように、厳しい決算を、より早く(そして正確に)完了させるミッションに取り組まれているわけですが、おそらく「気合い」と「根性」については、かねてからフル投入されており、これらだけではさらなる効率化・早期化を実現することは難しいところまで来ているケースが多いのではないでしょうか。
そこで各社、決算効率化・早期化のための様々な取り組みをなされているわけですが、その中でも「内部取引照合業務の効率化」については、お客様の取り組まれている様々な工夫を教えていただくことが非常に多いテーマです。
昔からあるテーマではありながらも、やはり連結決算において重要な、かつ効率化の余地のある業務だということでしょう。

このような各社の内部取引照合業務の改善に向けた取り組みの一部を以下にご紹介させていただきます。

 

1. 照合実施主体の分散
親会社の連結決算担当者が、照合を実施して一定基準額以上のアンマッチ情報を抽出、そして子会社に確認しながらこれらの差異を潰していくような方法が一般的と思われます。
しかし、そもそも親会社1社で多数のグループ会社分の差異分析を行うことは負担が大きいうえに、取引実態を直接把握しているわけではない連結決算担当がこれを実施することは決して効率的ではないと思われます。
これを解消すべく、業務プロセス・責任範囲を変更し、『各グループ会社で』一連の照合作業を行い、取引当事者間で差異を潰すためのアクションをとるのがこの方法です。
単純にいえば、「1人で10社分」を「10人がそれぞれ1社分」に変更するわけです。
2社が関係する事項ですので、「親子間の取引は子会社からアクションする」「子会社間の取引は売り側(債権側)がアクションする」などのルールを決めておくとベターかと思われます。

2. 照合実施時期の前倒し
「連結決算の一部」として、データ収集が完了した後に照合を行い、差異の分析・修正を実施していたものを、「データ収集の一部」としてデータ収集の締め前に照合、差異分析、修正を実施する方法です。
収集時期における負荷は増大するかもしれませんが、決算作業全体としては当然早まることになります。
さらに、個別決算の締め前にこれを実施した場合には、各社の個別財務諸表にも修正を反映することが可能となるため、業績評価などの精度の向上にも資することが可能でしょう。

3. 照合実施時期の分散
四半期ごとの制度決算のタイミングに作業が集中するのを防止すべく、損益取引の照合については月次で実施しておき、四半期決算における照合対象を低減する工夫をされているケースも見られます。
類似の方法として、月末前(20日など)に一次締めを設定し、決算が始まる前にそこまでの差異は潰しておき、決算時の照合対象を低減されているというお話も伺ったことがあります。

4. 照合実施単位の詳細化
インボイスや請求書など、詳細な実際の取引単位で照合を行う方法です。
照合対象の件数がかなり増大するため、一見非効率にも思えますが、機械的に照合し、不一致分のみを対象とすれば、さほど非効率ではないと思われます。むしろ差異を潰すという観点では、すぐに詳細なレベルでの不一致が判明するため、勘定科目などの単位で照合して差異を追いかけていくよりも効率的なケースも多いことでしょう。
この他に、為替の影響を排除した状態で差異の有無を認識すべく、取引通貨ベースで照合を行っているケースもあるようです。
数年前までは「そんな詳細なデータ、準備できないよ」という声も多かったのですが、様々な情報をグループで統合し、活用するというニーズの高まりに応じて情報システムが整備され、このようなデータを準備することも比較的容易になり始めているようです。流行の言葉を使えば「ビッグデータ時代の内部取引照合」と言えるかもしれません。

5. 照合業務のパターン化
上記のような対応を取り込むか否かにかかわらず、内部取引照合を実施していく過程で、次回の決算時には同様の事象が繰り返されない、あるいは同様の事象への対応が容易になるための活動を織り込んでいくことが重要です。
例えば、差異原因をパターン化して整備しておくことにより、同種の差異の発生を低減したり、差異が生じた場合の修正仕訳作成を容易にするためのアクションが可能となります。


いかがでしょうか?すでに取り組まれていることなども多いと思われますが、少しでもご参考になる点があれば幸いです。

弊社製品のミッションのひとつは、このようなお客様から教えていただいた様々なノウハウを吸収し、世に普及していくことであると考えておりますが、上記でご紹介したようなコンセプトについても、これらを詰め込んだ製品「DivaSystem NRN(ニューロン)」をご用意しております。 当製品は昨年の11月に大きくリニューアルを行ったばかりなのですが、すでに多くのお客様からご関心をいただいておりまして、この製品で日本中の企業の「内部取引が、楽にな~る」のをご支援したいと楽しみにしております。(※)

そういえば冒頭のマラソンの話ですが、「気合い」「根性」ともう1つ、タイム短縮の秘訣がありました。「道具」です。シューズをフンパツして高性能なものに変えてからタイムが飛躍的にアップしましたし、レース当日はスポーツタイツのおかげで攣りそうな足をなんとかゴールまで持たせることができました。 同様に、私どものご提供しているソフトウェアという「道具」がお客様の決算の早期化・効率化をご支援できればと切に願いながら、今後も引き続き精進して参ります。

 (※)NRN(ニューロン)は「グループ会社同士が神経のようにつながって自律的に照合業務を行っている様子」をイメージして「Neural Reconciliation Navigator」という意味で命名しております。

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