2014.04.23

第196回 (A) ヨーヨーで思う「熟練」という名の「道具」 【ケース・スタディー】

コンサルティング事業本部 コンサルティングサービス2部 マネージャー 松崎 典一

最近息子の通う小学校で「ハイパーヨーヨー」というおもちゃが流行っているようで、自宅でもよく遊んでいるのを見かけます。私も子供の頃、よく遊んだ懐かしのヨーヨー遊びなのですが、「ハイパー」なヨーヨーとはなんぞやと、内心失笑しつつ説明書などを見てみると、これが案外馬鹿にしたものではありません。
まず形自体に「バランス重視型」、「回転スピード重視型」といった様々な種類があり、中心の軸棒もスペーサーというパーツを噛ませて、空転の度合いを調節できるようになっていたりします。「ストリング」と呼んでいる糸もいくつかの種類があるようで、さらに高価なタイプのものになると中心部分にメタル製のベアリングが装着されているものも…。

思い出してみると、私が子供の頃遊んだヨーヨーと言えば、大手清涼飲料メーカーの商品のロゴがプリントされたプラスチック製の本体に、コルクの軸棒とただのたこ糸が付いただけのもので、種類があると言ってもせいぜいプリントされている商品ロゴが違う程度。物のつくり自体は似たり寄ったりだった記憶があります。
息子が技の説明書きがある紙を見ながら、今は横文字でカッコイイ名前になったトリックを順々にやっているのを見ていると、なかには昔「犬の散歩」「大車輪」などと呼んで私もよく練習した技がいくつかありました。
そこで私もちょっと興味本位で借りてやってみたのですが、これがまた想像以上にやりやすいのです。
少々斜めに振り下ろしてもブレないできちんと回ってくれますし、糸から伝えるわずかな操作にも敏捷に反応して動いてくれます。なるほど、たいしたものだと思いながら息子に、
「こんなヨーヨーなら練習しなくても誰だってすぐ出来ちゃうよ。面白くもなんともありゃしない。」と言うと息子が、
「そう?すぐ出来るようになった方が楽しいじゃん」
と。これには一瞬むっとして、
「馬鹿言うな、こういうのは苦労して何度も練習してやっとできるようになるから楽しいだろうが。技量を会得するまでのプロセスが大事だよ。」とその場では言い放ったのですが、改めて考えてみると確かに息子の言い分にも一理あるのではという気もしました。
そもそも「道具」というものは利便を高めるためにあるものであって、使っていく中で改良や工夫が施されることにより、より使いやすくより便利なものになっていくのはごく当たり前のことです。
さらにこれらの進化は利便性の向上だけでなく、かつては熟練の職人さんでなければできなかったような高度な技術、専門的な知識を必要とする作業を一般の人でもできるようにしてきたという面もあるでしょう。

会計業務の「システム化」はこれの最たるもの。
システム化による恩恵は単純な処理の高速化のみならず、作業者に要求する負荷を軽減できることでもあります。
今どきは所得税法の知識など全く無くても国税庁のWebサイトにアクセスし、画面の指示に従って必要事項を入力していけば誰でも税務申告書が作成できるようになっています。
とはいえ、私を含め会計・経理業務に携わる者が全く敷居なく誰でも行えるものなのかといえばそれは違うように思います。
かつては、それこそ電卓を打つのが速いであるとか、入力のオペレーションに習熟していることなどがある種のステータスのような頃もありましたが、今時そんなことを自慢していたら恥ずかしい思いをしてしまうでしょう。
今、経理に要求されるのは、熟練の技を駆使して数字を作ることではなく、数字を読む力。
膨大な数字の羅列の中からすばやく異常値を発見し、今何が起きているのか、これから何が起こる可能性があるのかを予測した経営情報を作成できることが求められています。
更なる進化を追求していくような思考を持ち続けることが「ハイパー会計人」を標榜する者に求められているのではないでしょうか。

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