2014.05.07

第197回 (A) 世界で最も住みよい都市とは?【ディーバ哲学】

コンサルティングサービス1部 マネージャー 手塚 祥子

毎年夏になると雑誌のエコノミストで、「世界で最も住みやすい都市」のランキングが発表されるのをご存知でしょうか?
昨年まで、3年連続でオーストラリアのメルボルンが1位に選ばれており、トップ10のなかにオーストラリアの4都市が含まれていました。
メルボルンは、私がディーバ社に入社する前2年弱住んでおりましたので、とても親しみのある街です。ただ、当時の私にとって日本(=東京・横浜)と比べ、より「住みやすい街」とは言い難かったので、3年も世界1位を獲得しているのなら当時の状況と変わっているに違いないと思い、少し調べてみることにしました。


エコノミストの調査では、社会的安定性(治安など)、医療、文化と環境、教育、インフラの5分野を独自の基準で指標にし、世界140都市(日本は東京、大阪)を比較しており、私が「住みやすさ」をイメージしたときに主要な項目として考える物価水準は評価の対象外でした。
社会的安定性は、身近な「軽犯罪(スリ、置引など)の発生率」よりも、無くて当たり前と思っていたテロや隣国との軍事衝突、内乱の危険性などが大きなウェイトを占めていました。また、政治の安定性も含まれているようです。
メルボルンにいた頃、ホストマザーによく「ここは日本じゃないんだから、安全ではないのよ!」と注意されたり、日本では普通に使っていた、チャックのないトートバッグを持っていると「お財布に注意しろ」と友人に注意されたり、日本は軽犯罪という観点からは安全な国なのかもしれません。
一方、外国からみると政権が短期間で変わることや、最近の国際状況をみると、社会的な安定という側面では日本はオーストラリアより劣っているようでした。
そのほか、私にとっての暮らしやすさの中に「外食の手軽さ」「住宅の質」「トイレの快適さ」「洋服の価格と品質」等々がありますが、エコノミストの調査ではあまり重視されていない(または基準に含まれていない)ようです。

メルボルンの町の中心部は古い建物が多く、私が住んでいた家も築100年くらいの家を大家さんがペンキを塗ったり、雨漏りをふさいだりして貸している家でした。
したがって、入口や各部屋のドアも隙間が多く、日本の100円ショップのようなお店では「ドアスネーク」という、ドアと床との隙間をふさぐ紐を太くしたようなものが売られ、私も利用していました。
「住みやすさ」の基準は人それぞれでしょうが、日常生活が便利かどうかという側面で比較しようと思うのは、最低限の治安条件、食事が当たり前だと考えているからなのでしょう。
(ちなみに、最も住みにくい都市は内戦で混乱しているシリアの首都ダマスカスでした。)

この文章を書くにあたって調べてみると、“世界で最も住みやすい都市”という調査はエコノミスト誌以外でもいくつかコンスタントに行われているものがあり、それぞれ独自の基準を使用しているため、東京や大阪がベストテンに入っていたり、ヨーロッパの都市が上位を占めたりということもあるようです。

比較をする場合は、統一した基準を設けることが必要になりますが、基準によって結果は異なります。
私の日ごろ接している会計の世界でも、IFRSという基準で財務結果を表示することで比較を容易にしようという動きがあります。この基準を用いることでのメリット・デメリットは、さまざま発生すると思います。その中で必要なことは、比較をしようと思う人が自分はどのポイントから比較をしたいのか、という明確な意図をもち、情報に接するということなのではないかと感じました。

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