2007.03.30

第21回 税効果会計について

公認会計士 斎藤 和宣

税効果会計は、企業会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損金の認識時点の相違等により、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続きです。(「税効果会計に係る会計基準」より)

税効果会計が適用されるまでの損益計算書では、中間納付した法人税等の額と翌事業年度に支払が予定される税額を加えて法人税等として認識されていました。その後、2000年3月期から税効果会計が適用されるようになると繰延税金資産(負債)および法人税等調整額が計上されるようになり、各企業の損益計算書、貸借対照表の姿が変わりました。

そのような中、近年の税効果会計にかかる話題となると、企業が計上する繰延税金資産を監査人が認めないというケースがあったり、株主資本に対する繰延税金資産の比率に注目した記事が掲載されたりと注目されています。この背景にあるのは、繰延税金資産の計上にあたっては企業の判断に委ねられる部分が非常に多い(つまり恣意性が入りやすい)からだと考えています。
一般的に、会計上は費用として認識しても税務上は損金として認識できないものが多いと思いますし、株主資本を押し上げる効果のある繰延税金資産は、税金の前払いと考えられます。ただし、こうした前払の税金を回収するためには、将来にわたって課税所得があることが必要になり、回収可能性という意味では非常に危うい性格を持っている資産と考えられます。

そこで(ここからは全くの私見でしかありませんが)、本当に税効果会計を適用することが有用なのかと多少の疑問を感じており、税効果会計を適用することにより下記のような懸念があることからも、税効果会計を適用せず期間差異等に関する注記を行うことでよいのではないかとさえ感じています。

1)税効果会計で計上される金額には恣意性が入りやすいため、財務数値の信頼性、比較可能性を低下させている恐れがある。
2)税効果会計の内容は容易とはいえないため、財務諸表利用者にとって理解しにくい財務諸表となってしまっている可能性がある。

とはいえ、会計基準として存在していますから適用しないわけにはいきませんが。

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ