2014.11.12

第210回 退屈な日々の活動を変える「ライフキネティック」 【ケース・スタディー】

コンサルティング事業本部 コンサルティングサービス1部 マネージャー 武澤 宏亮

休日、地元の少年サッカーチームの運営に携わっています。
立場上、他チームのコーチや選手の父兄の方々とお話しをする機会がありますが、例外なく皆、選手の育成、指導に非常に熱心であり、感心しています。
特に、どのような育成方針で日々トレーニングを行うかという点については、様々な考え方があり、それが各チームの特色となっているのが非常に興味深く、少年サッカーの試合を観る上でのひとつの楽しみになっています。
例えば、相手に向かっていく気持ちを重視してできるだけパスをせずドリブルのみを基本とするチームもあれば、小さいうちから考えてプレイするように、フォーメーションや戦術を子供に教えて、パスを繋いでいくというチームもあります。具体的なトレーニングメニューはさらにユニークで、動体視力を向上させるために子供に卓球をさせたり、バランス能力を鍛えるために一本歯下駄を履かせるといった熱心なお父さんもいました。
そんな中、私がトレーニングとして魅力的に感じた「ライフキネティック」と呼ばれる手法についてご紹介したいと思います。
これは、今年のサッカーワールドカップで優勝したドイツ代表や、同じくドイツのドルトムント等の有名なプロのチームでも用いられているのですが、主に集中力が長く持続しない子供にとって、楽しくトレーニングを行うために非常に有用なのではないか、と個人的に感じたものです。ライフキネティックの考え方では、あるトレーニングにおいて2つ以上の比較的単純な運動、思考を同時に行うことを基本としています。
例えば、右手人差し指で、目の前の宙に小さな円をぐるぐると描き続けるという運動は非常にシンプルなものです。これに、左手の人差し指で目の前に四角形を同時に描き続けるという運動を加えると、運動の難易度は急激に上がります。さらに誰かの合図で右手と左手の動きを入れ替える。といったルールを加えると、慣れないうちは誰しも頭が混乱してしまうのではないでしょうか。
サッカーの練習で考えると、足でボールをドリブルしながら、もうひとつのボールを手で(バスケットボールの)ドリブルし、加えて誰かに簡単な計算問題を出してもらうといった例が考えられます。

このようなトレーニングを行うことで、基礎的な運動能力とともに、運動しながら周囲の状況を認知し、判断することがよりスムーズにできるようになると考えられています。サッカーであれば、ドリブルしつつ周囲の状況を的確に認識し、パス等の判断ができるようになるという感じでしょうか。
そしてライフキネティックのトレーニングは、脳に非常に負荷がかかるためやってみるとかなりイライラする反面、楽しくて「なぜか笑ってしまう」という大きな特長があります。(実際に上述の指の運動を誰かと2人でやってみるとよくお分かりいただけるのではないかと思います。)
このおかげで、よく工夫されたライフキネティックのトレーニングであれば本来退屈してしまいがちな基礎的な練習を楽しく、且つ、認知力、判断力等の能力と一緒に鍛えられるのです。

さて、上述のように有用な手法であるライフキネティックなのですが、(基礎練習のような)ルーチンの作業にひと工夫を加えることでより楽しく、より多くの成果を得られると考えるとトレーニング以外の様々な分野に応用が出来るような気がします。
生産性や効率化、日々のやりがいといった課題をあらゆる職場、業務で抱える中で、このように日常の業務以外の活動で得られる情報、示唆から、明日の業務へフィードバックできることをより増やしていきたいと考えています。
ただ、ライフキネティックに関して言えば、トレーニングとしてこればかりをやっていればよいということではなく、脳への負荷とその回復も考慮して適度に行うのが良いようです。週に1時間前後で十分な効果が得られるとの意見もあります。
実際に、私自身の少年サッカー活動の中でいくつかのトレーニングを試しており、今のところある程度の好評を得てはいるのですが、これをそのまま職場に誤用して「今までひとつひとつこなしていた仕事を2つ同時にこなしてみれば?」なんてことをしてしまうと大変な結果を招きそうなので注意したいと思います。

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