2015.05.13

第223回 (B) 電王戦にみる将来の会計システム 【IT・情報システム支援】

コンサルティング事業本部 管理会計事業部 マネージャー 加藤 雄一郎

「電王戦」をご存知でしょうか。プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトによる棋戦です。
昨年まで3回実施され、いずれもコンピュータ将棋ソフトが勝利していましたが、先日実施された第四回電王戦では、プロ棋士側が初めて電王戦を制し、話題となっています。興味を惹かれましたので、電王戦に関することを調べてみました。

電王戦のきっかけは、故・米長邦雄棋士が、「引退棋士の代表」としてコンピュータ将棋と対局するという表明を行ったことがきっかけで、2011年の世界コンピュータ将棋選手権での優勝ソフト「ボンクラーズ」と米長棋士が、2012年1月14日に対局し、この対局を「第一回電王戦」として以後継続的にプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの対局が行われることになりました。

コンピュータ将棋ソフトの歴史は1970年代に遡りますが、急速に発展したのは2000年台中ごろからだそうです。コンピュータの計算性能が向上したから、プロ棋士に勝てるようになったというだけではないそうです。1997年にコンピュータがチェスの人間のチャンピオンに勝ちましたが、チェスの複雑さが10の120乗であるのに対して、将棋は10の220乗となりかなり複雑だそうです。コンピュータの速度向上だけではプロ棋士に勝つことは無理であり、評価関数の機械学習や全幅探索などのいわゆる「人工知能」の技術が急速に発展したことが大きいそうです。人工知能の技術については筆者には理解し難い内容ですが、将棋ソフト以外の分野でも世界を代表する企業で様々な応用が進められているようです。

さて、人工知能の発展は会計業務、会計システムにどう影響してくるでしょうか。制度会計の世界では、人工知能の精度が高まり、コンピュータが会計基準や税法を理解するようになると、会計システムの自動化の対象が拡大され、処理速度も加速されることが推察されます。例えば、会社がある取引を行った場合、どのような会計処理を行うべきか、現在のように事前に人間がシステムに設定した結果ではなく、コンピュータが自動的にそのときの会計基準、税法等のルールに従って正しい制度会計処理を行い、財務諸表や税務申告書を自動で作成する、これが近い将来の会計業務、会計システムの姿かもしれません。以前放送されたNHKの「NEXT WORLD」紹介されたレポートでは、弁護士・税理士といった現在では高い専門性・知識が要求される仕事が人工知能に取って代わられると報告されています。

また、管理会計の世界ではどうでしょうか。管理会計の役割は大きく2つあります。ひとつは意思決定のため、もうひとつが業績の評価や管理に役立てることです。人工知能により、多種多様な大容量データを高速に処理し、高速にはじき出した分析結果から将来の傾向やパターンを予測し、最適な意思決定を行い、経営会議資料をその場で自動作成することが推察されます。
ただ、人工知能の意思決定=会社としての意思決定とはなりえません。
上記の例ですと、データそのものはある意図をもって収集、加工されており、したがって、ノイズ、歪み、偏りなどが存在します。また、冒頭の電王戦最終局では、プロ棋士が対戦相手のコンピュータソフトの弱点を研究した結果、僅か49分でコンピュータソフトが負ける異例の結果となりましたように、システム自体にも弱点があるかもしれません。
このような人工知能の可能性と限界を知った上で、人工知能を意思決定に利用する、そういったリテラシーが経営者・管理者には必要となりそうです。

以上のように、人工知能の急速な発展により、これまでの私たちの生活やビジネスのスタイルが大きく変わる可能性があります。様々な分野でこれまで人間を中心に考えてきたやり方を根本から改めて、これまでの常識にとらわれずにゼロから新しいやり方と考えることが重要なのではないでしょうか?

私が所属する管理会計事業部では、連結の抜本的見直しを“連結のディーバ”だからこその想いから、連結管理会計システムの製品開発・ソリューションの提供を行っております。引き続き、これまでの常識にとらわれない、連結管理会計業務のあり方を、連結会計システムの実用化を真剣に考え続けます。

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