2015.06.24

第227回 (A) 我が家のサンゴはなぜ消える? ~小さな海の生態系~ 

管理会計事業部 シニアマネージャー 泉澤 渉

ちょうど1年前のこと。それまで5年間飼育してきた熱帯魚をペットショップに引き取ってもらい、自宅の水槽で海水魚「ニモ」を飼い始めました。何年か前にディズニーの映画で大ヒットした、カクレクマノミの幼魚です。子どもが生まれて、中々ダイビングに行けなくなった自分への癒し、そして何より、生き物が大好きな子どもが大喜びです。
ところが・・・

水槽の準備が完了し、ニモを3匹、ハゼを3匹、エビとヤドカリを入れました。数日後、ニモの体の表面に、白いイボのようなできものがたくさん出てしまいました。薬など色々な治療法を試したものの良くならず、半ば諦めかけながら、ニモが共生するイソギンチャクを水槽に入れてみました。すると、見る見るうちに、体表から白いイボが取れていきます。どうやら、イソギンチャクが、白いイボ(寄生虫)を食べてくれたようです。

数か月後、水質が安定してきたので、ジョーフィッシュという魚と、サンゴを数種類、新たに入れました。数日間元気にしていたジョーフィッシュが、1週間経ったある日、狭い水槽のどこにも見当たりません。考えられることはただ一つ、イソギンチャクに飛び込み、食べられてしまったようです。
綺麗に咲いていたサンゴは、ある朝、根こそぎ何者かにかじられて消えていました。ふと水槽の岩陰から、海水浴のときに採ってきたヤドカリと、どこから忍びこんだのか見覚えのない「スベスベマンジュウガニ」が飛び出してきました。しかし、サンゴを8つも食べ尽くした真犯人が誰なのか、未だ手がかりは掴めません。

皆様は、金魚、メダカ、ネオンテトラなどの「淡水魚」と、クマノミなどの「海水魚」の飼育方法の違いはご存じでしょうか?
同じ魚類ですが、最大の違いはその名の通り、海水魚は海水の中でしか生きられないということです。
昔の海水魚オーナーは、毎週新鮮な海水を汲みに海まで通ったそうですが、現在は海水の素(専用の塩)を水道水に溶かしたものを使います。
また、海水魚は、地球の水分の97%とも言われる莫大な安定した海水の中で暮らしていて、水質の変化には非常にデリケートです。従って、金魚のように小さな水槽にブクブクを入れるだけでは、とても長生きはできません。
水槽の中にはバクテリアという微生物が生息しており、魚の排泄物に含まれるアンモニア等の有毒物質を、より無害な亜硝酸塩、硝酸塩などに分解します。かわいさの余り、エサを与え過ぎたり、魚を増やし過ぎたりすると、この分解サイクルのバランスが壊れ、生態系が崩壊し、魚が死滅してしまいます。
ニモにとってパートナーであるイソギンチャクが、他の魚には脅威となったり、強力な濾過装置を入れると、サンゴに必要な栄養素までが消えてしまったり、この数十センチ四方の生態系を長く維持し、楽しむためには、バランス感覚が不可欠です。
逆を言えば、目に見えない微生物の定着、長期飼育のノウハウなどの資産を積み上げる視点を持つことこそが、長期にわたっての成長に欠かせないものとなります。

私たちがサポートしている企業経営管理も全く同じで、期末の売上高や損益などの一時期の業績、部門間のしがらみに傾倒する余りに、余剰な在庫や不稼働資産が積み上がり、中長期での価値を逸してしまう例が少なくありません。
結果としてのパフォーマンスを出しながら、その原動力となる資源をコントロールし、磨き続けていくことが、今改めて渇望されています。

そういった視点を持ちながら、私どもディーバ自身に対しても、「100年企業」として何が最も大切かを、日々追求して行きたいと考えています。

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