2007.04.26

第23回 監査人を”育てる”

公認会計士 斎藤 和宣

4/14の日経新聞に【みすず解体の衝撃(下)】として公認会計士に焦点をあてた日本の監査制度に関する記事が掲載されました。その記事の中では、2008年問題と称される新会計制度への対応事項が多い中で、不正会計事件が発覚していることにより、リスクが高く多忙であるだけの監査に従事する会計士が不足していることが記されています。そして、会計士が、監査人の選任や報酬の決定権を持つ企業側を向いて業務を行うことを回避できるような独立性を確保することと、財務諸表作成責任が企業にあることを前提とした企業側のガバナンスの向上との2点が課題として挙げられていました。

私自身がすでに10年以上前に監査業界を離れてしまっていることもあり、あまり詳細に述べることはできませんが、上記の記事に関連して何点か感じているところがありますので、その点に触れたいと思います。まず、独立性については非常に難しい課題だと感じています。現在の制度である限り監査人にとっては、報酬の直接の提供者(企業)と、本当のお客様(企業の他に数多くの潜在・顕在する投資家)とが相違しているからです。また、その点と密接な関係にありますが、監査業務を行うに際して企業の経理担当者などから目に見えて喜んでもらえる場面が少ないことから、監査業務を行うことからの充実感は低下しがちです。これらを根本的に解消しなければ、なかなか監査人の増加、その先の監査制度の充実は難しいのではないかと思われます。

また、別の視点からみると、多くの会計士(補)は資格を取得すると実務経験が無い状態で業務に関与し始めますので、当然ながら会計に関する原理・原則は理解しているかもしれませんが、実際の企業活動や経理業務については全く知識がないため、お客様から教えてもらうことばかりというのが現実だと思います。こうした1例も含め、企業側も資本市場の参加者として利益を享受しているという視点から、監査人を共に育てる意識・姿勢を持って行動することが必要になるのではないかと考えています。つまり監査人を育てるのは会計士業界だけの課題でなく、企業も含めた各資本市場関係者の責務として、監査人(公認会計士)を”育てる”ことが必要なのではないかと考えています。

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