2016.02.17

第245回 (A) ローマ街道と経営情報

取締役 執行役員 マネジメントコンサルティング事業部長 森本 朋敦

日本企業のグローバル化は進展の一途を辿っていますが、皆さんは世界最初の「グローバル経営」と言ったときに何を連想されるでしょうか。私の場合は、「ローマ帝国」を連想し、少々調べてみたところ、「すべての道はローマに通ず」で知られる「ローマ街道」が非常に重要な役割を果たしていたことが分かりました。

標準的なローマ街道は、馬車2台が対向できる車道幅を有しており、両側に歩道があるものを言うそうです。もちろん当時は電話もインターネットもない時代、道路は交通手段であるとともに、前線から情報を伝達する唯一の手段であり、有事の際には軍隊を素早く送り込む手段であった訳です。つまり、現代経営流に言えば、経営情報とロジスティクスの要となるインフラということになります。

このローマ街道がどれほど発達していたかというのを調べた方がいて、実は国土交通省道路局国道防災課長という方なのですが(2004年5月24日「日・米・古代ローマの道路政策を比較して」)、その論文によればローマ街道の総延長距離は80,000㎞。EUの高速道路が54,178㎞、米国の高速道路が75,100㎞ですから、ローマ帝国は現代の先進諸国よりも道路網が発達していたということになります。総延長距離㎞÷国土面積㎢をインフラ装備率と考えると、ローマ帝国は0.0195、EUは0.0138、米国は0.0078で、ローマ帝国が抜きん出ています。

このように、統治地域が物理的にも文化的にも拡大している「グローバル経営」においては情報伝達スピードが極めて重要で、一説にはローマ帝国の移動速度=情報伝達速度は19世紀に鉄道が出現するまでは破られることはなかったと言われているほどです。

お客様の「経営情報」に携わる私としても、「どのような経営情報を提供するか」ということとともに、「いかに早く提供するか」ということを日々の課題として取り組まなければならないと痛感する次第です。そういう意味で、某社の経営企画部長の言葉が思い出されます。「どんなにいい記事が書いてあっても、古新聞は誰も読まない」。ただし、ローマ街道に関してもう一つ注意すべき点があります。それは、ローマ帝国が衰退した背景として、ローマ街道の維持修繕費を一因とする財政破綻があるということです。「いい情報を」「早く」に加えて、やはり「安く」というのも当然重要であることは肝に銘じておきたいと思います。

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