2016.04.27

第250回 家計とグループ資金管理の共通点

マネジメントコンサルティング事業部 マネージャー 英 健一郎

当メルマガの読者の皆様は、○○グループ、といった企業グループに所属されておられる方が多いのではないかと思います。このような企業グループのグループ各社の資金管理(家計)を、各社でバラバラに実施するか、それともグループ全体で統一ポリシーを持って運営するか、ということで、グループ資金管理(キャッシュマネジメント、CMS)という業務領域があります。基本的には、グループ各社の余剰資金を資金の統括会社(≒親会社)で吸い上げて、この資金をグループ全体の有利子負債の返済に回すなどして、グループ全体の資金効率を向上させる取り組みです。銀行が提供するパッケージの利用等により、上場企業の8割以上が導入済みの仕組みであるため、ご存じの方も多いかもしれません。

この仕組みを導入した状態は、冒頭の家計の例に置き換えるとどのようになるかというと、

<現在>
各社(夫婦)がそれぞれバラバラに資金を管理している状態。
旦那さんは収入の範囲内で趣味や飲み会等にいくらでもお金を使える。

<グループ資金管理取組後>
奥さんが家計を取りまとめ(統括会社)、旦那さん(子会社)の給与口座は基本的に奥さんが管理している状態。
旦那さんは、お小遣い制になる。

さて、夫婦を企業グループに置き換えた場合に上記の<現在>の状態が「あり」か「なし」でいうと、私は「なし」だと考えます。理由は、管理がバラバラであることによって資金の非効率が発生しているだけでなく、生活する上で最も重要な資源である資金にまつわるリスクが放置されているためです。お金の管理自体は、旦那さんと奥さんがバラバラに管理していても、そこで非効率が発生していても、それは最終的には各家庭の考え方であって、外野がアレコレ言うことではないと思います。しかし、それぞれの収入がいくらあって、大きな支出として、何にどれくらい使ったのか、という情報がわからないと、生活する上で「お金が足りなくなる」といったリスクの有無を判断できません。ご夫婦にそれぞれ十分な収入があったとしても、それを上回る支出や浪費が無いことが確認できない限り、リスクの存在は否定できないのです。

それでは、ご夫婦で相談した結果、この考え方に納得され、<現在>の状態を改善しよう!となった場合に、目指す状態は上記の<グループ資金管理取組後>の状態でしょうか。この状態は、多くの企業グループが取り組み済みの状態ではありますが、これだけでは少なくとも、3つの視点がたりないと思います。

①:資金情報の可視化と共有
お金、という「モノ」は奥さんの元に一元化されましたが、既に上で述べたような「それぞれの収入がいくらあって~」といった資金の収支にかかる予実情報の共有がなく、お金の使い道の判断を誤る恐れがある。例えば、旦那さん側で来月結婚式に招待されていて、ご祝儀や衣装の準備が必要、ということがあったとします。この場合に、奥さんがそれを把握しておらず、全力で住宅ローンを繰り上げ返済してしまうと、手元のお金が足りなくなってしまうかもしれません。

②:子会社(旦那さん)に対する説明責任
夫婦のお金は、奥さんがとりまとめて管理することとなりました。しかし、これまで自由にお金を使えていた旦那さんからすると、「何故、お金を預けなければならないのか」、また、「預けたお金が、正しい目的に使われているのか」という点を気にして、なかなか協力が得られないかもしれません。例えば、「育児、住宅資金確保のために、@年後までに@@万円必要だから」という目的があれば、旦那さんも協力しやすいでしょう。

③:資金に関するガバナンス
例えば、旦那さんがお小遣い制になっていたとしても、スマホの課金ゲームにはまってしまい、膨大な金額が引き落とされてしまった、ということや、逆に、お金を預かる奥さんがFX等の高リスク運用に手を出して、多額の損失を出してしまった、ということが起きるかもしれません。こうしたことに対しても、「カードの引落し明細も奥さんがチェックする」とか、「資金の運用先の選択は家族会議で決定する」といった牽制する仕組みが必要です。

昨今のビジネスのグローバル化や管理対象資産の多様化によって、企業のグループ財務管理は従来の「グループ資金管理(≒銀行系CMSの導入)」だけでは充分とは言えないケースが増えてきているのではないかと思います。

ディーバでは、連結会計だけでなく、「グループ経営」関する多様なテーマに取り組んでおりますので連結会計以外のことでもお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。

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