2016.06.15

第254回 (B) 経理部に人がいなくなる日(人工知能に職を奪われないために今から準備すべきこと)

マネジメントコンサルティング事業部 シニアマネージャー 尾上 徹

つい先日、人工知能「アルファ碁」が世界最強といわれる韓国のイ・セドル九段を打ち負かしたり、米マイクロソフト(MS)が開発し、実験中だった人工知能(AI)の「Tay(テイ)」が、ツイッター上でヒトラーを肯定したり、人種差別的な言葉を発したことがニュースになっています。

このように人口知能の発展は目覚しく、無人運転など様々なメリットが語られる半面、以前「10年~20年後 人工知能に奪われる仕事100」で語られたように人間の仕事が奪われるといったデメリットも語られるようになっています。この人工知能に奪われる仕事の中には、経理といった身近な仕事も含まれています。経理業務に従事する方のなかには、心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ私は経理パーソンにとってはチャンスではないかと考えています。

そもそも、「10年~20年後 人工知能に奪われる仕事100」は経理の仕事をある意味間違えて捉えているのではないかと思うのです。経理の仕事の中には、伝票入力作業や集計作業や報告書作成といった業務がありますが、現在の経営環境で求められているのは、入力作業や集計作業や報告書作成といった定型作業ではなく、業績分析・将来予測・経営課題対応(M&A等)といった非定型作業なのです。

しかし、この新しい経営環境に対応するといった非定型作業は、実は人工知能は得意ではないそうです。現在の人工知能は、新しいことがおきたときに新たな方法を考え出す(ひらめく)ことは得意ではなく、あくまで過去の情報から比較検証を行い実施すべき行動を決めることが得意というだけのようです。そこで、定型作業の仕事は、人工知能に奪われても、それ以上にやるべき非定型作業はいくらでもあるので、むしろ人工知能に定型作業を移管するのはWELCOMEなのではないでしょうか?

人間は人工知能が行なう作業や業務プロセスの維持管理を行い、人間は非定型作業に特化できれば、「経理は集計作業や資料作成ばかりで人材的に成長できない」といった話はなくなり、「経理はチャレンジングな魅力ある仕事」になるのではないか思われます。ただ、上記の話しが将来の話しかというと、必ずしもそうではないと考えています。今でも経理の仕事のうち、定型業務を最小化し、非定型業務に特化することは可能です。

それができないのは、現在の業務プロセスやシステムが人間の作業が組み込まれている前提で放置されているため、人工知能レベルにない現在のシステムで自動化できないという状況に過ぎないのです。「この作業は1時間でできるので、改善しなくていい」といった話をよく聞きますが、これが積み重なって結局、定型作業を行なう人員が必要となり、せっかくの能力を埋もれさせてしまうことになってしまいます。このまま、何も変えずに集計作業や資料作成をひたすら続けて、将来人工知能に職を奪われる前に、まず人工知能レベルにないシステムでも対処できるレベルまで業務の整理・再構築から始めてはいかがでしょうか?弊社でも経理部門の生産性改革についてのお話をお聞きする機会が多くありますが、抜本的に業務(単体・連結を含めた全体)プロセスを見直すまでの話はまだまだ少ないため、このような話が増えていくことを願ってやみません。

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