2016.07.27

第257回 (B) 車輪の上

プロダクトソリューション事業本部 管理会計事業部 事業開発部
製品開発グループ長 齋木 勝

ダイエットと運動不足解消を目的にロードバイクに乗り始めました。

ロードバイクはかごや泥除け、スタンドなどがない実用性ゼロのスポーツのためだけの自転車です。
最初はお金をかけずにランニングを始めたのですがすぐに膝が痛くなってしまい悩んでいたところ、同僚から『自転車ならランニングのような着地の衝撃がないから膝に優しい。どうせならロードバイクが良い。』とそそのかされ、すぐさまその足でショップに向かいました。

しかし、お店に入って愕然としてしまいました。

どのロードバイクも目玉が飛び出るほど高いのです。目立つところに大々的に展示されているものは100万円以上、他にも一通り店内を見渡しましたが目につくものは30万円以上の高額商品ばかりで正直腰が引けました。ママチャリなら安いものであれば一万円前後で買えるのになんでちょっと形が違うだけの自転車がこんなに高いのか、エンジンも電動アシストもついていないような乗り物に10万円以上かける意味がまったく分かりません。

そこで「数万円で買えるものはありませんか」と店員さんに相談したところ、安いものを買ってもすぐに高いものを買いなおしたくなるのでお勧めはできないと厳重に忠告されたうえで渋々、そっけない態度で9万8千円のロードバイクを紹介されました。こんなに高いものを誰が買い換えるかと心の中で感想を述べつつ、高額商品を散々目の当たりにして目が若干おかしくなっていたために9万8千円がとてもリーズナブルに見え、その場で注文してしまったのでした。

納車までの1週間はこれでどれくらい痩せられるか皮算用して妄想を楽しめた反面、ほんとにこれで良かったのかとの疑念がくすぶっていました。ペダルなし(別売り)、泥除けなし、スタンドなし、かごなし、鍵なし、すぐパンクする、サドルが硬くてお尻が痛い、と何の実用性もないこの乗り物に約10万円を使ってしまったことに何とも言えない後ろめたさのようなものがありました。

しかしその後ろめたさは納車されたショップからの帰り道でペダルをひと踏みした瞬間に完全に払拭されました。それまでは自転車と言えば近所の買い物を楽にするための乗り物(通称ママチャリ)という程度の認識でしたが、いざロードバイクに乗ってみるとあらゆる体験が決してママチャリの延長線上にはない、次元の違う、まったく別の乗り物だということがすぐに分かったのです。どちらが優れているということではなくまったく違う乗り物だと理解することでそれぞれの価値が見えてくるように思います。

さて、そもそもの目的であったダイエットと運動不足解消に関してはどうでしょうか。

体重によって異なりますが、ロードバイクで一日10時間ほど走れば消費カロリーは概ね4,000kcalを超えることになると思います。体脂肪1kgを燃焼するのに必要な消費カロリーが約7,200kcalのため2日走れば単純計算で体脂肪を1kg以上減らすことができます。しかも、ロードバイクは人力では最も速く、最も遠くへ、最も楽に移動できる乗り物ですから、慣れてしまえばこの程度の消費カロリー分を走ることは大して難しいことではありません。これだけの長時間運動し続けることができ、大量のカロリーを消費し、それでいて翌日の仕事にも支障がないというスポーツはロードバイクの他にはあまり見当たらないと思います。さらに、長時間高強度の有酸素運動を定期的(1週間に1回以上)に行うことによるインスリン抵抗性の改善などの効果もあるようです。

このような実利はあるものの、純粋に楽しいと言うのが乗り続ける最大のモチベーションとなります。
慣れた人であれば距離にして一日あたり150~200kmほど走るのが一般的かと思いますが、これだけの移動距離となるとちょっとした旅行に相当しますのでそれだけでもリフレッシュになりますし、何より自分の足で四季折々のいろんな土地の景色の中を駆け抜ける爽快感、急こう配の峠を全力で駆け上がると言う困難への挑戦、それを克服したときの達成感、限界値に張り付いた心拍からもたらされる全身の充実感は何物にも代えがたい楽しさがあります。今となってはダイエットや運動不足解消と言った何か別の目的達成の手段としてのロードバイクではなく、ロードバイクで走ること、それ自体から得られる楽しみを求めて走っています。

もちろん、あの優しい店員さんの忠告通り、購入後わずか2ヶ月後に買いなおしたロードバイクで。

※健康のために運動は大切かと思いますが怪我や事故には十分にお気を付けください。特に自転車で運動する場合は車両の一員として道路交通法を順守して安全運転で楽しみましょう。

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