2007.06.15

第26回 資産除去債務の会計処理

公認会計士 斎藤 和宣

企業会計基準委員会より5/30に「資産除去債務の会計処理に関する論点の整理」が公表され7/9までコメントの募集を行っています。当テーマは有形固定資産の解体、撤去等の処分や原状回復といった将来の支出を要する費用を、どのタイミングで認識しどのように会計処理するのか(貸借対照表にどのように表現するか)を議論しているものです。

公表されている「本論点整理の概要」によれば”特に”ということで論点を9つ挙げています。
1)資産除去債務の範囲
:資産の取得、建設、開発又は使用によって発生する費用を基本としています。

2)資産除去債務と対応する除去費用の会計処理:
使用に応じて費用認識および負債認識する「引当金処理」方式と全額を資産と負債で最初に認識する「資産負債の両建処理」方式を挙げています。電力会社の貸借対照表に計上されている「原子力発電施設解体引当金」などはこの引当金処理方式として説明できます。一方、日本では実質的に適用されていない「資産負債の両建処理」について以下の3)から9)の論点としてまとめています。

3)資産除去債務の全額を負債として計上する理由
:環境問題を背景とした資産除去債務の早期認識に対する関心や、将来負担を財務諸表に反映する有用な投資情報といった理由が挙げられています。

4)資産除去債務の負債としての計上時期
:金額を合理的に見積ることができるようになったときを想定しています。

5)資産除去債務に対応する除去費用の資産計上と費用配分
:資産計上して減価償却を通じて費用配分されるとしています。

6)資産除去債務の割引価値の算定における将来キャッシュ・フローの見積りと割引率の関係
:キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクや債務不履行のリスクなどを考慮する必要があるとしています。

7)資産除去債務の負債計上後における将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率の変更
:残存償却期間で減価償却により費用配分していく方法で検討しています。

8)リース物件(賃借資産)における資産除去債務と対応する除去費用の処理
:ファイナンス・リースについてはすでにリース料に含まれるため別途債務を認識する必要はないとし、オペレーティング・リースについては認識するか否かを検討しています。

9)資産除去債務と対応する除去費用に関する開示
:国際的な開示基準を参考に開示項目を検討しています。

このような議論が進められると貸借対照表の姿はますます変化し、その時点では発生していないがある程度の確かさで将来に発生する事象からのキャッシュ・フローを、すべて現時点の価値で表現するものに近づいていると感じています。

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