2016.10.05

第262回 (B) ラーメンではない「じゃんがら」

プロダクトソリューション事業本部 連結会計事業部 連結会計コンサルティング1部
マネージャー 山口 俊

今年のお盆、福島県いわき市にある祖母の家に帰省した際にふとカレンダーに目を遣ると、8月14日の欄に「じゃんがら」と、見慣れない文字が書かれています。祖母に聞くと、近所の新盆を迎えるお宅にじゃんがらが来るので、それを見に行くのだと言います。ラーメンではない「じゃんがら」、皆様ご存じでしょうか?

磐城平藩に伝わる『御内用故実書』に「じゃぐわらじゃぐわらと鉦をたたき立、念仏をかまびすしく唱え候は磐城の名物也、此古実なり」とあるように、ラーメンではないじゃんがらとは、正式名称をじゃんがら念仏踊りと言い、福島県いわき市を中心に江戸時代より続く夏の風物詩として親しまれています。そして毎年8月13日から15日までの3日間、鉦(かね)、締太鼓を打ち鳴らしながら新盆を迎えた家々を回り、亡くなった方へ向けて鎮魂の祈りが捧げられます。

では話を今年のお盆に戻しまして。

じゃんがらを見に行くという祖母ですが、一昨年に玄関で転倒して足を骨折して以来、あまり歩くことが得意ではなくなってしまいました。本人は痛くないと言うものの、祖母の歩く姿は私の目にはどうにも辛そうに映ります。
そんな祖母が近所とは言え、そう近くもないところへ、歩いてじゃんがらを見に行くと言うので、祖母が少し心配だったこと、そして私自身いわき生まれではあるものの、一度もじゃんがらを見たことがなかったこともあり、一緒に付いていくことにしました。

道中、「こっちの方が近道だ」と言って、祖母がアスファルトの道を外れて田んぼの畔へ分け入っていった際には驚かされましたが、無事に目標のお宅へ到着すると、ご主人から「じゃんがら、到着するの1時間くらい遅れるから、ちょっと座って待ってて」と、縁側へ通されました。
縁側に座ってスイカを頂いたり、庭に落ちているセミを見つけて駆け寄った息子がセミから反撃を受けて泣いたり、そんな姿を見て笑ったり。祖母のリハビリの近況を聞いたり、じゃんがらは庭先で踊るんだからここは特等席だねえ、なんて言いながら、ぼんやりと1時間が経っていきました。そうすると程なくして、何とも言い難い特徴的な鉦の音が聞こえてきました。

凛とした空気が庭先に満たされていきます。
日常から非日常へ。
地を這うように太く響く締太鼓の音と高く浮遊する鉦の音。
繰り返される念仏。

逝ってしまった者、そして残された者へ向けて奏でられるじゃんがらの音色は音楽や芸能の原始の姿を体現するかのようで、弾けるような豊かさを湛えていました。
トランス状態というと少し語弊があるのかも知れませんが、鎮魂の音色鳴り響くその一時、残された者は目を閉じてその空間に身を委ね、故人を偲び、そしてこれからも続いていく自らの生を思い描く。
これはいまで言うところのグリーフケアに近いものなのかなあ、なんて思いながらあっという間に時間は流れていきました。

じゃんがらを見て、祖母が何を思ったのかはわかりません。ただ、じゃんがらからの帰り道には、田んぼの畔をゆっくりと、でも心なしか行きよりも颯爽と歩く祖母の姿があって、その隣では少し頭が垂れ始めた早生の稲穂が風に揺れていました。

日常と非日常。地を這う音と浮遊する音。逝ってしまった者と残された者。そして、変わるものと変わらないもの。季節は秋へと変わりましたが、私は季節を問わず、変わらずにアドオンを作り続けております。
こんな機能って実現できない?というお困りやお悩みのことがあればお気軽にお声掛け頂ければと存じます。私の携帯に保存してあるじゃんがらの動画をご紹介させて頂きながら、まずはご相談からお役に立てればと考えています。

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