2007.09.21

第33回 工事契約に関する会計基準

公認会計士 斎藤 和宣

企業会計基準委員会より8/30に「工事契約に関する会計基準(案)」および「工事契約に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。現在の会計基準では、長期請負工事に関する収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができるため、各企業の判断でその適用を行い比較可能性を低下させている恐れがありました。加えて会計基準のコンバージェンスの一項目としても検討が始められていたものです。当公開草案の概要によればいくつかのポイントがありますが、主なものとしては下記となります。

•範囲:「工事契約」(仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、土木、建築、造船などの基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うもの)と「受注制作のソフトウェア」が適用の範囲。
•工事契約に係る認識基準の識別:「工事収益総額」、「工事原価総額」、「決算日における工事進捗度」を信頼性をもって見積ることができれば、工事進行基準を適用し、その要件を満たさない場合には工事完成基準を適用。
•工事進行基準の会計処理:原価比例法等で決算日における工事進捗度を見積る。上記3つの要素で見積の変更が行われた場合には、その期に影響額を損益として認識。また、未収入額は特段の定めが無い限り金銭債権に準じて扱う。
•工事契約から損失が見込まれることとなった場合の取扱い:工事原価総額等が工事収益総額を超過する可能性が高い場合には、当該超過すると見込まれる額(工事損失)のうち、既に計上された損益の額を除いた残額を、工事損失が見込まれた期の損失として処理し、相手勘定として工事損失引当金を計上。
•適用時期:基本的に平成21 年4 月1 日以後開始する事業年度に着手する工事契約から適用されるが、期首に存在するすべてに一律適用することも可能。

ところで、別の視点からは当会計基準の適用により期中における減価集計等の社内業務が適切に運用されるようになることが期待できると考えています。また、発注者側(債務認識側)で認識・計上されない債務残高(進行基準が適用されたことによるもの)がより多く計上されるようになる点は社会全体のバランスとして若干の違和感が残ります。

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