2020.04.01

第349回 (B) Jリーグ中断を財務面から考える

開発統括本部 プロダクトマーケティング室  マネージャー 立堀 隆

皆さんは、三度の飯より好きなスポーツチームはありますか?
 
私は千葉県柏市出身で、Jリーグチーム「柏レイソル」のサポーターを20年近く続けています。
執筆時点では新型コロナウィルスの影響でリーグは中断中ですが、そうなると心配なのは各チームの財務面です。Jリーグの各チームは毎年決算数字を開示していますので、数字を見ながら考えてみたいと思います。

最新の開示は2018シーズンの決算です。この年は川崎フロンターレが2年連続優勝、鹿島アントラーズがアジア王者になった以上に、イニエスタ選手が年俸32億円でヴィッセル神戸に加入したことが話題になりました。各チーム決算の横並び資料をもとにJ1チームを見ていきましょう。

2018年度 クラブ決算一覧
2018年度 クラブ経営情報開示資料(後半にクラブ別推移)

■収益
売上は30~70億円くらいの範囲です。

スポンサー収入
ユニフォームやスタジアム看板等の広告収入です。各クラブとも売上比で5割弱と依存度が高く、ビッグクラブで30億円、それ以外は20~15億円前後です。実は経年で見ると成績低迷や降格でも大幅に減ることはありません。複数年に渡り関係構築しているスポンサーや、地域に根ざすクラブ理念に共感している地域スポンサーに支えられていることがわかります。
そんな中特筆すべきは62億円(前年比2倍増)のヴィッセル神戸です。チーム人件費と合わせて見ると、イニエスタ選手の獲得はスポンサー意向によるスポンサー収入増で賄っているようです。

入場料収入
試合のチケットや年間パスの売上です。試合興行はプロスポーツの基本ですが、売上比では2割弱しかありません。天候や曜日以外ではサポーター数や商圏・スタジアム座席数・サポーターのロイヤリティ度が関係しますが、それぞれトップクラスである浦和レッドダイヤモンズが収入も興行利益(入場料収入-試合関連費)も突出しています。ビッククラブ有利に思えますが、どのチームも同じ位の比率です。イニエスタ選手効果のヴィッセル神戸は1.6倍と伸びていますが、スター選手がいないチームはチームの成績に依存してしまうので、勝ち負けに関係なく「試合やスタジアムの雰囲気を楽しめる」ように力を入れているチームもあります。
土日開催分が平日になると1試合につき1万人程度観客が減ると言われていますので、皆さんスタジアムに足を運びましょう!

Jリーグ配分金
主に放映権料の配分金と、リーグ1~4位チームに与えられる理念強化配分金です。例えばリーグ1位の理念強化配分金は3年間で15.5億円ですが、選手補強には使えないので、2017年優勝の川崎フロンターレはこれを元にクラブハウスの改築をしたとのことです。
放映権料は複数年契約していますが、放送がなかった場合はどうなるのでしょうね?

物販収入
グッズ収入です。限定ユニフォームや優勝記念グッズなどでサポーターの忠誠心が試されます。イベントやコラボの企画やマーケティングが上手な川崎フロンターレは、浦和レッドダイヤモンズ・鹿島アントラーズといったビッグクラブと同程度の収入・利益(物販収入-物販関連費)があります。
試合がなくてもオフィシャルショップや通販でグッズは販売できますので、中断で試合に飢えているサポーター向けに伸ばせる余地はありそうです。

■費用
費用全体ではビッグクラブで70億円、小規模で25億円の幅になります。

チーム人件費
選手や監督等の年俸です。どのチームもサービス業並みの人件費率5割前後の中、柏レイソルやサガン鳥栖は6割以上と非常に高く金額もビッグクラブ並みです。ヴィッセル神戸は途中加入のイニエスタ選手の年俸半年分(16億円)が計上されているとすると、チーム人件費44億円の1/3がイニエスタ選手ひとりで(6億円のポドルスキ選手も合わせると2人で半分)占められています。

試合関連経費
スタジアム使用料や試合運営スタッフ等の費用です。実はJリーグで自前のスタジアムを保有しているのは柏レイソル・ジュビロ磐田の2チームだけで、それ以外は自治体から借りています。年間17試合しかホーム試合がありませんので、この規模だとスタジアム資産を持つよりも費用とするほうが良いのかもしれません。


決算を見ると多くのチームは儲かっていません。人件費などの固定費割合が高いので心配になりますが、関係構築しているスポンサーを抱えているところはすぐに悪化することはなさそうです。ただ、J3まで含めると多くは小規模都市をホームとして予算も小規模なチームであり、過去にスポンサー撤退で消滅したチームや現在も大手スポンサーが撤退したチームもありますので、中断や景気の影響が今後どのように現れるのか、その時サポーターはチームに対して何ができるのか、改めて考えさせられました。

Jリーグの決算は毎年7月に開示されるので、皆さんの地元のチームの財務状況を気にしてみてはいかがでしょうか?

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