2008.01.11

第40回 研究開発費に係る会計処理

公認会計士 斎藤 和宣

国際的な会計基準とのコンバージェンスの1つとして、研究開発費、特に社内の開発費の取扱いと企業結合等により取得した仕掛研究開発の取扱いに焦点を絞って「研究開発費に関する論点の整理」が企業会計基準委員会より12/27に公表されています。内容としては、研究及び開発の定義について国際財務報告基準・米国会計基準との比較・分析、社内の開発費に関する両基準との比較・検討、企業結合等により取得した仕掛研究開発の会計処理および評価金額についての両基準との比較・検討となっており、以下のように整理されています。

① 研究費、開発費の定義・・・研究費については「新しい知識の発見を目的 とする計画的な調査」という点で各基準間で共通しているが、国際的な会計 基準では「科学的又は技術的な」などのように要件が明示されている。開発 費についても「研究成果またはその他の知識の具体化」という点や、新しい 製品・生産方法だけでなく、既存製品などの大幅な改良が含まれる点も共通 している。

② 社内の開発費の扱い・・・日本の会計基準は、研究開発費はすべて発生時 に費用処理しなければならないものとされており米国会計基準も同様の扱い となっている。一方で国際財務報告基準では、研究に関する支出は発生時の 費用であるが、開発に関しては資産計上の要件をすべて満たしていれば無形 資産として計上することになっている。この資産計上の背景には外部から 取得した場合と区別されるものではないとの考えもあるようです。 論点としては、そもそも「資産」とは何かという点や、財務諸表利用者に とって判断が入ることが有用なのか、また収益を獲得できることの確かさ のレベル、判断基準の客観性などが示されています。また、償却・減損等 の費用化の方法についても言及しています。

③ 企業結合等により取得した仕掛研究開発の扱い・・・取得時にすぐに利用 可能なものを資産計上することは特に論点とならず、取得企業にとって途中 段階の成果でしかない研究開発活動に関わるものを「仕掛研究開発」として 議論しています。日本基準では費用処理することにされていますが、国際財務報告基準では企業結合日の公正価値で資産計上することとされており、 米国会計基準も昨年12月の改訂で資産計上する取扱いに変更されています。日本基準がとっている取得企業の研究開発活動とする判断方法や、その後の 研究開発とは独立したものとして資産計上する考え方や、あるいは一時費用 としないために資産計上する考え方などが示されています。

本文にもあるとおり、日本で年間約13兆円にも達する研究開発費の扱いですので、その会計処理方法は注目すべき論点かと思われます。

旬刊経理情報 寄稿記事「DXを視野に入れた海外拠点管理のポイント」無料ダウンロード

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ