2008.02.08

第42回 EUのビジネスモデルとASBJ

公認会計士 岩佐 泰次

先日新聞で、特許制度についてEUで統一させ、その後世界統一を目指す、という記事を目にし、知的財産権でも同じか、と感じました。EUでは、通貨統合を果たした以降、世界での位置づけ・発言力を急速に高めています。そのビジネスモデルは明確で、まずEUで統一を図り、その後世界へ展開する、というものです。最も困難と思われる通貨統合さえ成し遂げ、更にあれだけ経済格差のある東欧すら取込んだ実績が、そのビジネスモデルへの自信に現れているように思います。会計面でのそれが、会計コンバージェンスです。

日本も今、米国の背中を追いかける時代を追え、世界統一基準(主人公はEU)との調整に必死の状況です。この主体となっているのが、ASBJであり、年間10億円近い予算と、優秀な学者・実務家・会計専門家という貴重な人材が費やされています。

ただ、そのような人・カネ・時間がどれだけの価値を生み出しているかは大いに疑問であり、個人的な感覚としては、IFRSとのギャップという’含み損’をこれ以上拡大させないための活動にしか思えません。ASBJの活動1つ1つを見ると確かに猛烈なスピードで対応を行い、感心する面もありますが、外から見た場合にはそうは見てもらえないのではないでしょうか。おそらく2011年まで必死で’含み損’処理に終われ、本来行うべき日本の位置づけ・発言力強化という’投資’もできずに2011年を迎えるのではないかと危惧しています。

まずやるべきことは早期に’含み損’の処理を行うことだと考えます(どうしようもないところ以外は一気に受入れる)。2011年まででは遅すぎます。代わりに主張すべきところ(当期純利益の有用性など)はもっと張していくべきではないか、と思います。IASBも社交辞令ではなく、世界第2位の経済圏での日本の実績・ノウハウに大いに期待している状況です。

‘含み損’の処理に手をこまねいて、投資できずに2011年を迎えた段階でどうしようもない状況になってしまうのではなく、世界の会計基準をリードする立場に向けて’打って出る’メッセージを、ASBJや金融庁には発信して欲しいと感じています。

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ