2008.03.21

第45回 為替相場変動の影響

公認会計士 斎藤 和宣

昨年後半は1ドル120円前後で推移してきた米ドルの為替相場ですが、先月末から今月に入って急速に円高が進み、ついに95円台までの円高(ドル安)となる場面もありました。こうした為替相場の変化に対して、輸出型企業にはマイナス面、輸入型の企業にはプラス面の影響があるものとして、「1円」の変動により利益がどれだけ影響を受けるのかといった記事やニュースなどの報道をよく見かけます。そこで、この相場の変動がグループ各社の財務諸表から作成される連結財務諸表にどのように表現されるかを考察してみます。

為替レートが影響を与える側面として、まず1つは外貨建ての取引がある各個別企業の業績に影響を与えます。各社では当然ながら為替予約など様々な手段で為替変動のリスクを回避していますが、事業収益・費用と、外貨決済・評価損益との間で入り繰りが生じるなどいくつかの影響がでてきます。もう1つ、在外会社の形態で事業活動をしていれば、連結するにあたっての財務諸表の換算時にそのまま影響がでてきます。

また、上記は価格(単価)面での影響について着目していますが、そもそも価格変動による取引数量の影響も別に把握する必要もあります。純粋な価格変動による影響の測定だけでなく、相場変動の要因にもなっている各国の経済状況も加味しなくてはなりませんが、こちらを把握することはさらに容易ではないと考えます。さらに、企業がグローバルに展開し、取引に適用される通貨も多様化して、その上記帳通貨も異なる状況を考えると、「1円」の影響を把握することは非常に難しいものとなっていると思われ、影響を算定しなければならない現場では大変苦労されているとの話も耳に入ります。

そこで、各企業は財務諸表という代表的な業績測定のツールを用いて、株主・投資家への情報開示をしていますが、財務諸表への影響を正確には把握できていない恐れがある状況で、説明責任を十分に果たしているかについては慎重に考える必要があると思われます。極端な表現をすると、為替相場変動の影響を計測可能とするよう取引形態自体を見直す必要があるのかもしれませんし、逆に影響を把握できる(計画的に取引通貨を選別できる)仕組みを用意することが求められるのかもしれません。

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