2008.05.02

第48回 決算期が統一されていないのは何故ですか?

公認会計士 岩佐 泰次

ここ数年、親会社が決算期を変更する形で、グループで決算期を統一するケースが見られるようになっています。背景としてはグループ経営管理の徹底や、四半期報告や内部統制といった制度面の影響もあるように思われます。またグループでの決算期統一はIR面でも高い評価を得ているようです。

そこで実際に決算期変更した場合によくみられる変更理由について以下例示してみます。

(1)「四半期業績等の経営情報をより適時に開示し、経営の透明性の更なる向上を図るため」
(2)「業務処理の合理化、効率的な連結事業経営を推し進めるため」
(3)「親会社のグループメンバーとして決算期を統一させるため」
(4)「グローバル企業としての位置付けを明確にするため」

(1)は、四半期サイクルでの業績開示が当然の状況で、3ヶ月ズレた状態で報告される財務数値にどれだけの意義があるのかという疑問を投げかけています。
(2)は、対外的な発表だけでなく、実際に3ヶ月ズレたままでは事業経営する上で様々な弊害があることを指摘しています。連結決算作業の中でみても、合わないはずの内部取引照合作業などは分かりやすい例かもしれません。
(3)は、親会社グループの一員として、親会社が上記(1)(2)の理由を目指す結果、子会社として決算期変更をするものです。海外資本が親会社になった場合によく見られます。
(4)は、理由としては少しニュアンスが異なりますが、強いメッセージ性を感じます。

そもそも決算期はどのように決まっているのでしょうか?基本的には定款に定めれば自由に決定できるものです。何かの記念日や(創業者の誕生日など)、業界での慣行や(小売業の2月など)、商習慣上の締め日(20日など)もありますが、日本企業の多くが3月末決算です。国の会計年度に合わせていることがそもそもの理由のようです。また横並びとすることで株主総会をあまり目立たせないようにという理由もあるようです。いずれにしても’3月でなくてはならない’という理由は多くないように思われます。

連結中心、グループ経営と叫ばれて久しいですが、依然親会社は3月決算、海外子会社は12月決算というケースが大半です。グループベースでの経営管理を真剣に推し進めようとすれば、必ず決算期の壁に突き当たります。本質的な解決策は決算期を12月で統一(親会社の決算期を変更する形での統一)することしかないように思います。グローバルに見れば12月決算が多いですし、海外子会社を買収したような場合もスムーズに業績管理の対象として取込めます。なお、仮決算対応という方法もありますが、これは子会社へ二重帳簿を強いるものであり、特にBSまで仮決算させるような場合には子会社にとっては相当の負荷となります。親会社が12月に’変更すればよいだけ’のことをせず、単に子会社に負荷を強いているだけのように思う面もあります。その負荷をなくす代わりに、これまで以上の情報を報告してもらう方がよほど付加価値を生むはずです。

では実際に決算期を統一するにあたってどのような課題があるのでしょうか?
実際には各社ごとに課題の洗い出しが必要にはなりますが、典型的には以下のような課題が存在します。

・子会社単体決算の効率化(会計事務所頼みの決算からの脱却)
・監査法人との調整
・定款変更を始めとする諸手続き

諸手続き的なものは問題ないとして、それ以外については、期ズレが容認されているが故に放置している課題ではないか、と感じています。国内子会社における同様の課題については決算早期化の要請からすでに対応済であることからすれば十分クリアできるものでしょう。グループ経営の実現という目的で、勘定科目の統一や業務プロセスの標準化が叫ばれますが、まずやるべきことは決算期統一というインフラ整備なのかもしれません。

「決算期が統一されていないのは何故ですか?」という問いに対して明確な回答が必要ではないかと思います。

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