2008.06.13

第51回 公益企業と株式公開

公認会計士 斎藤 和宣

先日、東京電力が夏の電力需要ピークに備え節電対応の準備を始めたニュースを目にしました。このニュースだけでなく電気は大切に使おうというコピーも従来から目にしていましたが、企業であれば自社で提供する製品・サービスをより多く購入してもらえるよう行動するものという思いから、不思議な感覚を持っていました(ただし最初の例は、実は電力需給がひっ迫することを回避するための対応でした)。また少し前には、Jパワーの株式を海外の投資ファンドが追加取得する際に、政府がファンドに対して外為法に基づき中止するよう命令したというニュースもありました。これらのニュースを見ていて、電力、ガス、鉄道、航空、あるいは電話といった公益性の高い企業が、必ずしも利益獲得のためだけの行動を取らないことや、特定の株主に支配されないよう株式の大量取得や外国資本による株式取得に制限を設ける一方で、これらの公益企業がなぜ株式を公開しているのかが腑に落ちない部分があるため、ここから少し考察してみたいと思います。

そもそも製品・サービスを提供する経済活動には程度の差こそあれ必ず公益性があり、そのレベルが高い領域は国や地方自治体が税金で資金を賄って活動し、それ以外の領域では民間企業が提供する役割を担っていると考えています。そして民間企業のうち公益性の高い企業でも株式公開しているわけですが、そこには、
(1)特定の株主により企業が支配される可能性がある。
(2)機密情報が拡散するおそれがある。
(3)利益獲得を優先とした(公益を損なう)行動をとるおそれがある。
といったリスクが考えられます。

その一方で、株式公開を行うことで、
(1)設備投資にかかる資金を広く効率的に集めることが可能になる。
(2)情報開示が徹底され税金で運営するより活動の透明性が高まる。
(3)投資家の目にさらされることで、効率的な投資活動・事業運営が促進される。
(4)人財を集めやすくなる。
といった効果が表れるのではないかと考えられます。

一見矛盾する公益企業の株式公開という状況も、これらのバランスの中で成立している仕組であると解釈しています。

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