2008.07.25

第54回 コンバージェンスの中でみた「連結」

公認会計士 岩佐 泰次

今回は、会計コンバージェンスのうねりが大きくなる中での「連結」の状況について、最近のトピックスに絡めて考察してみたいと思います。

まず会計制度面について「連結」をみてみたいと思います。
会計制度面からの「連結」としては、2008年6月に公開草案が出された企業結合会計基準の改正案(「企業結合会計基準に関する会計基準(案)」、「連結財務諸表に関する会計基準(案)」など)が最近のトピックスになります。そこでは、平成22年4月1日以降適用を前提に、持分プーリング法の廃止、全面時価評価法への一本化、負ののれんの償却処理の廃止、などが織り込まれています。

ただ「連結」関連のコンバージェンス対応はこれで終わりではありません。
今回は比較的影響の小さいところだけが改正案として織り込まれたというもので、本当のゴールは、2007年12月と2008年1月にFASBとIASBから公表された企業結合会計基準が参考になります。簡単ですが今回の日本基準の改正で織り込まれておらず、FASB、IASBの国際的な会計基準での改正内容を以下に列挙します。
・公正価値概念の全面的な採用
・用語の見直し(取得法⇒パーチェス法、少数株主持分⇒非支配持分)
・非支配持分の当初測定方法(非支配持分からも暖簾を認識)
・支配継続中や支配喪失時の資本連結処理の変更
など
日本基準ではいつ、どのような形で次の改正があるかはわかりませんが、コンバージェンスの全体の流れからはそう遠くないタイミングで上記のような追加の改正が見込まれます。

次に国際会計基準(IFRS)について「連結」をみてみたいと思います。
今秋にも米国が国際会計基準の受け入れを決める可能性もある中で、日本でも公認会計士協会会長が「日本も国際会計基準の採用に向けて準備を進めるべき」とコメントするなど、すでに日本でも国際会計基準を受け入ることは時間の問題となっている感があります。その上で最近は、具体的にどのようなアプローチで受け入れるのかという議論が始まっています。

「連結」関連では、日本が国際会計基準を導入する場合、「連結」のみ先行して適用してはどうか、という流れができつつあります。これは「個別」と「連結」で会計基準が異なるという状況を意味しています。二重帳簿など実務上の煩雑さや投資家からみた場合の分かりにくさなどの問題がありながらも、配当や税務計算の基礎となる「個別」を簡単に国際会計基準へは変更できないという日本の現状を考えた場合、非常に現実味のある導入アプローチと考えられています。

2008年5月に報告された経団連の調査、つまり企業サイドの意識調査でも「連結」だけの国際会計基準受け入れに対して前向きな回答があがっているようです。

最後に開示面について「連結」を見てみたいと思います。
ここでは今期より開始の四半期報告書制度で「連結」のみ開示しているという点に大きな特徴があります。

以前から投資家情報(金融商品取引法)としては「連結」だけで、「個別」は不要ではないか、という議論はありました。「個別」は会社法を前提とした配当計算や、税務計算としての役目を担い、投資家情報としての意義は少ないということが理由になります。また欧米各国においては、投資家情報としては「連結」のみを開示という国は少なくありません。「個別」を当然のように開示している現行ルールは国際的に見た場合決して常識ではないのです。この点四半期報告書制度での「連結」のみ開示は特別な意味があるのです。

以上最近のトピックスを「連結」に絡めて考察してみましたが、「連結」と「個別」とは同列に扱うことはできません。「連結」は、本来的には最小単位が財務諸表である点、組織再編等の実態を適切に反映する役割を担う点、基本的には配当や税務計算を担っていない点、取引事実の記録が主眼ではない(不正等は少ない)点など、両者の位置づけは異なるのです。その違いを踏まえた上で最近のトピックスを振り返った場合、「連結」は「個別」に比べ、よりダイナミックにグローバル化が進んでいるように感じています。

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