2008.09.05

第57回 コンバージェンスからアドプションへ

株式会社ディーバ 代表取締役社長 森川 徹治

2008年9月4日、日本経済新聞朝刊の一面大見出しに「日本、国際会計基準導入へ」という衝撃的な記事が掲載されました。現時点では検討を開始したというものですが、世界第一位と第二位の経済大国である米国と日本が、それぞれ独自の会計基準を捨てるという判断は現在そしてこれからのグローバル社会のゆくすえを象徴する大変な出来事であると思います。

2007年時点のグローバルベースのGDPが約54兆ドルであったことに対して、米国は約14兆ドル、そして日本は4兆ドル。一方EU諸国のGDP合計が約17兆ドルあることを考えると、EUをはじめとした100以上の国・地域がすでに採用している国際財務報告基準(IFRS)がグローバル経済社会のデファクトスタンダードとなるのは当然の流れのように思えます。グローバルGDPの約25%超を構成する米国が会計基準の覇権を握る可能性はゼロではありませんでしたが、8月27日に米国証券取引委員会(SEC)にてその公表が決議された米国企業のIFRS適用に関するロードマップ検討に際してサブプライム問題の影響があったことは否めないものと思われます。一方、世界の10%(約8.1%)に満たない経済規模の日本が、会計技術としての優秀性は別として独自基準を維持するのは米国の動向にかかわらず意義不明瞭なものであると感じていましたので、アドプション(受け入れ)へ舵を切ることは、コンバージェンス(共通化)という中途半端な妥協案に進みゆくことに比べて、日本と日本企業がグローバル社会の一員として健全に成長していくためにも、現実を直視した大変好ましい判断であると個人的には受け止めています。

日本の会計技術力の高さをグローバル社会に生かすという視点から考えると、アドプションにより、IFRSの検討に主体的に参加することができるというメリットも生まれてくると思います。コンバージェンスであると、独自の会計基準運営を残しIFRSの検討に対して一歩引いた立場となり、どれほどよい考えであってもグローバル会計技術の向上へ貢献できる発言力を獲得することができません。一方アドプションによりIFRSを採用する国際会計基準審議会(IASB)メンバーの一員としてIFRSの検討へ主体的かつ積極的に参画することでグローバルコモンセンスの理解を高めるとともに、グローバル会計技術の発展に貢献することができるようになるのではないかと期待しています。

それはさておき、このアドプションにより、連結会計と個別会計、それぞれが担う役割の違いが一層鮮明になるでしょう。個別会計は国家・地域に根差した税務のための会計としてその意義が変わるものではありませんが、連結会計は経営者のみならず、社員、投資家を含む世界中すべてのステークホルダーに対する意思決定のための会計として、開示要件を満たすのみならず、その利用価値を高めていくことが求められます。そして、その連結会計を支える情報システムである連結経営会計システムもグローバルなマネジメントシステムとして成長・進化を遂げていくべきものであると考えます。

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