2008.11.28

第63回 社内にいくつの「連結」がありますか?

公認会計士 岩佐 泰次

グループ経営や連結といった業務に関わっていて常々感じていることの1つに、連結業務というのは1つの実態に対して複数の財務数値が存在していることが非常に多いということです。典型的には制度連結を経理部、管理連結を企画部等が実施するというケースです。他にも、地域統括会社や海外事業部が独自基準で実施する連結、営業部が独自で収集している連結情報、広報がIR用に作成している簡易な連結など、社内で「連結」と呼ばれる財務数値は意外と多いのです。これら部署が異なっても、扱う連結実態は当然1つです。ただそれぞれで作成する財務数値が異なっているケースも多々あります。子会社の側からみれば同じようなデータを複数の部署へ報告しているということもあると思います。このようなケースは多くの企業で心当たりがあるのではないでしょうか。

一方個別業務においても、制度・管理の区分はありますが、両者で最終数値が異なることは連結に比べると相対的に少ないのではないでしょうか。決算業務プロセスとしても、最後は制度の総勘定元帳へ収斂される仕組みになっており、その意味で制度と管理で財務的乖離が発生しないように担保する仕組みが存在しているといえます。

では何故このように1つの連結実態に対して複数の財務数値が存在するかですが、個人的には以下のような背景があるのではと考えています。

まず「実態との距離感」です。個別業務では現物管理を中心に実態と財務数値の距離が非常に近い一方、連結では現物管理を志向するものではなく、実態との距離が相対的に離れた実務感覚になっているのです。この距離感が1つの実態に対して複数の連結数値を許容しうる下地になっているのではないかと感じています。

他には連結業務の「進化の過程」に起因している部分もあると感じています。決算期の扱いを例にみてみます。経理部は制度連結を目的として連結財務諸表を作成し、そこでは時間的猶予を確保する観点から海外12月決算会社の決算期は12月のままとし(期ずれ)、一方企画部や営業部等の管理連結ではグループ会社の個社管理から進化を遂げた結果、同月ベースでの連結が主流になっていった、などの差異をもたらしていると考えています。決算期以外でも連結処理ルールなどにおいて各階層・各部署で独自の要件を持っているケースは多々あるかと思います。このように各階層・各部署がそれぞれの目的・ニーズを追求すべく独自の進化を遂げていった結果、各階層・各部署ごとに独自の連結結果を保持することとなってきたと考えています。

このような1つの実態に対する複数の財務数値(複数の連結)に対しては、制度環境面でもマネジメントアプローチ、四半期報告書制度などの動きがある中で、多くの会社で1つの連結実態の把握に向けて取り組み始めていることを実感しています。その際にまず実施すべきことは、社内で「連結」と呼ばれる業務がどれだけあるのかを棚卸することなのかもしれません。

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