2009.02.03

第67回 連結財務諸表の作成方法

公認会計士 斎藤 和宣

連結財務諸表は企業グループをあたかも一つの組織とみなしてその実態を表しており、企業の情報開示などグループを説明するものとして現在広く用いられています。連結財務諸表の作成方法を大雑把に表現すると、グループ各社の個別財務諸表を足し合わせ、更に足したままだと重複してしまう部分を消去していくという作業が中心で、実は連結財務諸表およびその作成過程にはいくつかの問題が含まれていると考えています。

まず、多くの労力が必要になっている点です。例えば親会社ではグループ各社の決算を待って個別財務諸表やグループ内の取引など各種データを集め、それが正しいことをチェックしなければなりません。また内部取引の消去では、双方の報告数値を照合した差異をつぶす作業に多くの人員と時間をかけてしまっています。別の側面からは、本来は消去後に残った金額、つまりグループ外との取引金額を中心に分析することが本質であるにもかかわらず、作業的にはグループ内の取引を消すことだけに注目した業務になってしまいがちです。加えて連結財務諸表の作成過程を考えると、個々の取引を積み上げた数値でなく個別財務諸表を出発点として重複する勘定金額を消去していく手続きであることから、経済活動とは無関係な作成過程を経ることになり、活動実態そのものとは距離のある単なる数値としての性格を強くしてしまっていることは否めないと思います。

そこで考えたいのは、上記のような問題を含んでいる連結財務諸表およびその作成方法の発想を転換してみることです。つまり、日々の取引を記録していくことでいつでもグループ財務諸表をみることができ、決算は企業グループとしての決算整理をすることで現在の連結財務諸表に相当する財務諸表を作成し、必要に応じてそこから個別財務諸表を作成する方法です。考え方としては法人格のある子会社ですが、一つの会社を構成する一部門として捉えるイメージで連結財務諸表が先にありそこから個別財務諸表を作るのです。このような考えを持たれている方々が実はたくさんいらっしゃるのではないかと思っています。

ただ、このコンセプトに合致しやすいのは工場や販売会社を法人としているメーカーなどの企業グループであり、M&Aの頻度が大きいなど事業の内容や構成する企業が頻繁に変わる企業グループの場合には当てはめにくいかもしれません。まだまだ整理が必要で多くの課題があるかと思いますが、全く逆転した発想での連結財務諸表・個別財務諸表の作成方法を考えてみてもよいかもしれません。

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