2009.04.14

第72回 (B) “便利”なExcelが招く”不便”【IT・情報システム支援】

商品開発本部 本部長 公認会計士 中山 立

ITの発展・普及により、一昔前に比べて、業務中、PCと向き合う時間が増加したという方が多いと思われますが、その中でも最も向き合っている時間の多いアプリケーションのひとつにExcelが挙げられるのではないでしょうか?

実際、予算の編成・見積書・人事評価・プログラム仕様書、場合によってはワープロとしての用途など、ビジネスのあらゆる場面でExcelが活用されているのを目にします。
中でも、多数の人にフォームを配布し、そこに入力してもらって情報を収集するようなケースで、迷わずExcelを選択することが多いように感じます。

これは、Excelが便利な道具であるということはもちろんですが、便利であるが故に広く普及しており、普及したが故に操作についての教育が不要であるという点が大きく起因しているのでしょう。
このように考えると、Excelは一般生活における電気やガスのように、ビジネスにおいて不可欠なインフラのひとつであると言っても過言ではない地位を築いていると思われます。

しかし、このような情報収集におけるExcelの利用はいくつかの課題を抱えており、必ずしも最適であるとは言えません。

まず、挙げられるのが情報の一元管理の問題です。
例えば、予算策定の際に各部門から情報収集するようなケースで、随時変更され送信されてくるファイルを管理していくことは非常に煩雑な作業です。作成側でも、バックアップ目的でファイルのコピーを繰り返した結果、どれが”本物”か分からなくなってしまうことは、よくあることなのではないでしょうか?

この問題の解決策として、『ファイルの中身の情報を自動的にデータベースに格納して一元管理すること』をご提案します。
このようなソリューションを導入すれば、メールの添付ファイルを何度も慎重に保存せずとも、情報は自動的に収集され、最新版に更新されていきます。エクスプローラにある同名のファイルについて、「どちらが本物か?」で頭を悩ます必要もなく、「ここにある情報が最新の正しい情報である」と安心して業務を行うことが可能となります。
セキュリティの制御やワークフロー管理も行いやすくなることでしょう。

もちろん、ポータルなどでファイルそのものを一元管理することでも、上記の課題は解決可能です。しかし、その場合には、集計・演算、そして分析作業が困難であるという第二の課題が残ります。
Excelは「表計算ソフト」ですので、集計・演算は最も得意分野のはずであり、首を傾げられた方もいらっしゃるかと思います。事実、Excelは四則演算はもちろん、かなり高度な計算も関数を駆使すれば簡単に行うことが可能です。

しかし、これはあくまでも1つ(もしくは予め定められた少数)のファイルの中での話であり、前述のような情報を収集してこれを取り纏めるような用途においては必ずしも当てはまりません。
例えば、各部門から収集した予算情報をもとに全社合計した製品別の売上高を算出するような横串の集計をExcel上に手入力することは非常に煩雑であるうえ、部門数が増えるたびにメンテナンスが必要となり、あまり現実的ではありません。
この手間を省略するマクロという手段もありますが、いわゆる「マクロ職人」への依存が高まり、他人から見れば何をやっているかすら分からなくなるという懸念が生じます。

一方で、データベースに格納する場合は、各部門のデータが同じ場所に同じ形式で格納されるのが一般的です。各部門のファイルが統合・整理された1つのExcelファイルが生成されるようなイメージです。
このような形式であれば前述の集計も容易なのは想像に難くないことでしょう。つまり、データベースに情報を格納することにより、部門をまたがった横串の集計についても非常に簡単に行うことが可能となるのです。

同時に分析用のツールを利用すれば、「過去5年間の推移を確認する」「全部門を通して売上上位10位までの製品を確認する」「製品・地域別→地域・製品別と視点を切り替えて売上高の状況を見る」といった分析業務も非常に容易になります。(これらの例を部門別に分散したExcelファイルから行う難易度はすぐにイメージがつくかと思います。)

現在、Excelで収集している情報は企業にとって非常に貴重な情報のはずです。しかし、情報は活用しなければ意味がありません。データベースを利用することによって、企業の各所に散在する貴重な情報を一元管理し、さらには有効活用を推進することが可能となるのです。
情報の入力には従来通り、優れたユーザインターフェースであるExcelを利用しつつ、その中身の情報はデータベースで管理して有効活用する―このような「いいとこ取り」の仕組みをご検討してみてはいかがでしょうか?

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ